2007/08/31(金)21:56
『 蛇行する川のほとり 』 恩田陸
夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために「合宿」を始めた少女たち。だが、少女たちは気づかなかった、運命の歯車が回り始めたことを……。恩田ミステリーの傑作長篇。
美しく心地よい青春小説の風なのに恩田さんの手にかかるとこうも刺激的なミステリーとなるんですねぇ。
と言っても凶悪殺人事件が行われたりするわけではなく、記憶をたどるようなうつろさとはかなさの中で、かけひきが行われ進んでゆくような小説でした。
登場する男女6人は誰もが素敵で才能を秘めているという個性豊かな高校生。青春物語として充分楽しめました。
難を言えばトリックがちょっとさみしかったかな。
でも動機や流れはこの小説だからこそあり得て許せる、まるで宝塚歌劇を思わせるようなまぶしささえ感じました。
2007年、この夏は恩田さんと京極さんで終わりそうだなぁ