本所吾妻橋の有名酒場は悪くなかった
東京中を隈なく巡りたいと思いながら交通事情やらを理由にしてあまり近づこうとしない地域があります。ぼくにも敬遠しがちな場所というのがいくつもあって,近くて遠い印象が刷り込まれているのがスカイツリーを中心にしたエリアになります。浅草でさえ面倒に感じるのですから曳舟や押上なんかはよほど思い切る必要があります。本所吾妻橋も当然なかなか足を伸ばさない場所で,昼間こそ散歩の途中に通過することはあってもあえて夜に利用するのは実に久しいのでした。 A氏と本所吾妻橋駅のある三ツ目通りと浅草通りが交わる交差点で待合せです。雨の中1時間弱も待たせてしまいすまんすまんと登場です。すでにリサーチの済んでいるA氏から全品250円の店があるとの情報をもらい,向かったのは「小皿料理居酒屋 なごみ亭」です。実はここ当初から来るつもりでいたお店です。普段は全品:300円ですが,この日は折よく25日。毎月25日は「すみだ家庭の日」と墨田区が区内の商店やら施設と協賛してさまざまなサービスを提供している日とのことで,この日は全品250円と相成っていたのでした。なかなか気の利いたサービスです。といっても奥深く伸びる客席数も多い店なのですが,閑散としています。従業員も収容力から推定すれば5,6名はいてよさそうなものですが,実際は2,3名程度と日常もこの程度の入りなのかもしれません。肴は品数も多く,値段からすれば味もまあまあ文句を言うようなものでもないのでもう少し客の入りがよくてもよさそうに思われます。この界隈の客たちは舌が肥えているんでしょうか。まずは一息つけたので,続いてのお店に向かうことにします。 向かったのは「もつ焼 稲垣 本店」です。2年程前「とん平」に呑みに来たのが本所吾妻橋で呑んだ最後のように記憶します。その時もA氏と一緒で,呑んでる最中にA氏の家族にトラブルが勃発して慌ただしく店を出たことを思い出しました。その「とん平」前を通過して左に折れるとすぐに「もつ焼 稲垣 本店」があります。以前押上店にお邪魔していますが,真新しくてまったくもつ焼屋さんらしくないところにがっかりしてしまったため,本店も似たようなもんだろうという先入観を植え付けてしまったようです。実際来てみると,もつ焼店らしからぬ広々とした風情は大衆割烹といった方が似つかわしい気もしますが,これはこれでなかなかいいものです。Beeハイというビールと焼酎のなんだか気が利いてるんだか,安直なんだかよくわからないけれどもお得に思える飲物でスタートです。こうして改めてもつ焼を食べるとなかなかのハイレベルであることを確認できます。ああ,これならもっと早く来ておいてもよかったなと思えるほどです。なるほど人気あるわけですね。酒場っぽさは「とん平」が上に思えますが,その他の点では「稲垣」がずっと上に感じられました。地元の呑兵衛は,「とん平」派と「稲垣」派があったりするんでしょうか。日によって使い分けしてるんでしょうか。なんにしろこの渋い2店が長く商売しているとは地元の方が羨ましいと当初の酒場不毛地帯めいた言い種からは一転して,町の印象が好ましいものに変化したのでした。品書:ビール大:500,サワー:300,串物4本:400,もつ煮込/稲がんも:300,ばくだん:600