夜が待ち遠しい

2015/05/31(日)10:40

岩手県を中心に東北本線GWの旅 喫茶篇4

栃木県(23)

 さて、話は一気に飛んで仙台の知人夫婦宅に泊めてもらったその翌日のこと。何とも呆気ないことにこの日で旅は終わりです。帰路もまた東北本線を各駅停車でダラダラと帰ることになります。もちろんただ乗りっぱなしというつもりはありませんが、岩手ですっかりGWの洗礼を受けてしまい意気消沈の体たらくなので、どこまて気力が持つものやら、いささか不安ではあります。  それでも7時前には仙台駅まで送ってもらい予定していたよりも早い列車に乗車できました。このGWは東北の交通網はトラブル続きなため、少しでも先に進んでおくのが得策です。白石止まりの列車で乗り継ぎに少し時間があったので以前空振りに終わった喫茶店を三軒ばかり偵察に向かいましたがやなり不調に終わりました。福島駅と黒石駅にも訪ねておきたい喫茶店がありますが、歩きで行くには幾分遠すぎます。泣く泣くまたの機会に譲ることにして本格的に途中下車の旅を開始したのはもう東北を脱出した栃木県の西那須野駅でした。  駅前を進むとやがてウッディな構えの正統派の良さそうな喫茶店があってしかも嬉しいことに営業しております。念願の喫茶店が確保できたのでひと心地ついて散策することにしました。ところが町らしい町並みもなく「カリメラ」という喫茶店、いやあれはカラオケを提供しているスナックに近いお店のようです。あまりグズグズする時間はありません。駅に取って返し、「ホープ」にお邪魔することにしました。電話ボックスもある外観と違和感のない本格的な、でもちょっと大人し目のシックなお店でした。お客は他にお一人だけ、よほど美味しかったのかランチのサラダをお代わりしています。ぼくはこの先を考えても素直にコーヒーを所望、ちゃんとした癖のないおいしいコーヒーでした。店を出る準備を始めたら、矢継ぎ早に地元のオバちゃんが数名来店しました。  次に下車したのは矢坂駅です。西那須野よりは駅前は多少賑やかです。それでもやはりかなり寂れた商店街を進むと風情ある食堂もあったりしてなかなか楽しめます。「エジンバラ」、「コーヒーショップ」、「ピノッキオ」などの喫茶店があって、とくにもう閉業している「ピノッキオ」にはぜひ訪れたかったものです。さらに進むと「カフェ・ド・ジュリエ」があります。アメリカンな装飾の純喫茶とは趣の異なるお店なのですが、どういうわけだか案外いい雰囲気に思われます。たまたま指定された席が窓側だったのが良かったのかもしれません。よくよく眺めるとそれなりの年季が感じられ、後付でアメリカンな内装を付け加えたのかもしれません。  思いの他ゆったり出来てそれなりに満足して店を出て、次なる町を目指します。というわけにはいかなかったのです。駅まで戻り改札を通ろうと切符を探すのですがどうしても見つからない。どこかで落としてしまったようです。愕然として念のため来た道を引き返しますが、きっと「カフェ・ド・ジュリエ」で落としたのでしょう。藁にもすがるような気持ちで店で尋ねますが見かけなかったとのこと。絶望的な気分で道を渡るとありました。道端に飛ばされることもなく転がっていました。ほっと一息つくものの次の列車までまだ随分と間が空きます。駅そばの渋い食堂にでも行こうかしら。

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