夜が待ち遠しい

2015/06/02(火)08:52

岩手県を中心に東北本線GWの旅 酒場篇5

栃木県(23)

 さて、これでGWの東北の旅の酒場篇は最後になります。下車したのは東北本線の栃木県最後の駅、野木駅です。まだ時間もそう遅くはないのにここで最後にしたのにはどうにも愚かしい理由がありますが、それは追々報告させていただくことにします。  野木駅もまた間々田駅と同様に殺伐とした気分になるくらいにドンヨリと淀んだ空気感の漂うこう言っては住んでいる方には失礼ですが、町としての役割を終えつつあるどこか諦めに満ちた気配が充満しているように感じられました。駅の東側は再開発に着手されながらも放置されてしまったかの雰囲気でチェーンの居酒屋が1軒あるだけです。西側には駅から目抜き通りらしい通りが伸びているものの違和感をあからさまにした真新しいちょっと気取った居酒屋がありますが、お休みのようです。もう少しだけ歩いてみるかと進んでいくと、飲食店が軒を連ねる古い粗末な造りの長屋がありました。その1軒「酒処 おかめ」は営業しているようです。これは見過ごす手はありません。カウンターと小さなテーブル席が2卓、奥にはやっとこ4人入れるかどうかの小上がりもあったはずです。女将さんが、この長屋のできた30数年前から一人で続けてこられたお店だそうで、この周辺はどんどん町並みがダメになっていると寂しげに語られました。駅の向こうで見掛けた喫茶店はちょっと前に店を閉めたけれどいいお店だったのよと教えてくれました。300円とお値ごろなカツオの刺し身は分厚い切り身が5切れほどもあって、これは平日だったら仕事帰りの客たちでたいそう混み合うのだろうなと思っていたら次から次へと新規のお客がやって来て、いつの間にか店は一杯になっていました。間々田駅そばの似たような店名のお店とは違い、こちらのお客さんは強面の人が多いけれどなかなかに気さくです。ぼくが東京から来ていることを知ると、赤羽で長く仕事してたんだけど赤羽より王子で呑むことが多かったねと言われたので、「山田屋」ですかねとお聞きすると嬉し気な表情を浮かべて懐かしそうにそうそうそんな店名だったかなと顔をクシャクシャにして喜ばれるのでした。  いやあ、いい店だと満足して席を立ち、もう少しだけ野木を歩いてみようかと歩き出してしばらくしたところで、切符のないことに気付きました。この日2度目の紛失てす。探せど見つからず、これはこれ以上呑み続けたら碌でもないトラブルに巻き込まれるかもしれぬと、まだ時間は早いのですが帰宅することにしたのでした。

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