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カテゴリ:大田区
羽田空港のすぐそば、早朝便に搭乗する人や欠航による宿泊難民の方のためのホテル街のような味気ない大きな通りが目に付きますが、京急の羽田線の線路に寄り添うように歩いてみると、案外に庶民的な商店が立ち並び、今回向かう穴守稲荷のような歴史を感じさせてくれる神社などもあって、思いのほか散歩の楽しさを味わえるのですが、今回は日もすっかり落ちた頃にやって来たのでした。ここに来たのは以前入りそびれた酒場放浪記のお店に入りたかったというのが主な理由で、調べをつけておいた喫茶は前回同様見つけられず、しばらくは駅周辺をウロウロしてから開店のタイミングを見計らい、いそいそと呑みに向かうのでした。
お邪魔したのは、「季節料理 なべ料理 淀」です。実はあと一軒、無性に気になる良さそうな焼鳥店もあったのですが、今は目の前の酒場に集中することにしましょう。通常より幾分か狭く感じられる戸を開け入るとすでに呑んでいてもうそれなりに出来上がっている高齢のご夫婦がおられます。二人とそう年の変わらぬような店の主人夫婦は矍鑠としていますが、オヤジさんはほぼ口を開くこともないので案外喋るとお客の夫婦同様、何だか噛み合わない会話となるかもしれませんが、少なくとも料理の手さばきを拝見するにまだまだ老境には達しておられぬようです。大繁盛すると聞いていたので早めに来ましたが、入ってしばらくは手前の6人分程度のカウンターにまだ余裕がありましたし、奥の2卓分の小上がりも空いていました。しかし、次第に分かるのですが、奥の席は両卓とも予約が入っていて、どうやら名物という鍋が目当てのようです。そうそうカウンターの背後にも2名掛けの小上がりがありましたがこれは今は使われていないようで、46周年を祝う花鉢が置かれています。ここで呑むのも良さそうに思えたのでちょっぴり残念ですが、今ではここまでは手が回らないのでしょう。評判通り肴は魚介を中心になかなか新鮮で美味しくいただけました。そうこうするうちにカウンターは埋まり、奥の小上がりの客も三々五々と集まり始めています。とてもわれわれまでは手が回りそうにありません、ちょっと物足りなくはありますが、次の店の目星も付いているわけだし、移動することにしました。 店の前がバス停だったので帰りは蒲田駅行きの京急バスに乗ることにしましょう。駅方面に折り返して、川崎大師の方角に伸びる路地を進むと「やきとり すみちゃん」がありました。殺風景な外観がなんともいい雰囲気です。何でもないといえばそれまでですが、直感的にこちらはかなりの年季がある店だと確信します。ところがあれれれ、細長いカウンターに奥は座敷になっていて子連れ客たちがガヤガヤと楽しんでいるという光景はこの町のものとして相応しく思われます。しかし、想像より明るくて若い人も多いので何だかイメージと違っていてどこか拍子抜けの感があります。肴はボリュームがあってつまみ甲斐がありますが、逆に値段を下げて少なめにしてくれたほうがいろいろ食べられるのにな。ところで概ね悪くない店なのですが、とにかくわれわれー同行者ありーが一見ということもあるのか、女将さんがとにかく強面でおっかないのです。われわれに対しては警戒の表情を崩すこともなく、それは勘定が済んでも変わることなく、寒々とした気分に浸るのでした。ところが奥の座敷は女将さんの家族のようで、子供たちが絡む時だけは笑顔を浮かべーそれでも引きつった表情なのでもともときつい顔立ちの方なのかもー、その百分いや千分の一でも愛想があったら印象はぐっと良くなったはず。 バス停に引き返してみると「季節料理 なべ料理 淀」はまだまだ縁たけなわ、真暗な停留所にて街惚けるのが悲しくなるのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015/12/01 08:40:26 AM
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