|
カテゴリ:大田区
平和島に来るのは何年振りでしょうか、随分久しい印象があります。駅の印象というのがあまりなくて、それは久し振りと言うのだけが理由ではなく、実は京急線を利用して平和島を訪れたのは初めてのことと思われるのです。これまではJRの大森駅から結構な距離をダラダラ歩いて来ており、呑んだ後なので記憶が定かではないのですが、戻りもわざわざ大森駅に引き返していたはずです。そんな訳で、平和島の駅前風景がこれほどまでに郷愁を誘うようなものであったことにまずは驚かされ、そして嬉しくなるのです。ここには商店街にあって欲しい全てがあると書くといささか大袈裟ですが、こんなにこぢんまりしているのにぼくが望む町を構成するあれやこれやが過不足なく揃っているのです。当然何よりあって欲しい喫茶と酒場が仲良く隣り合ってある事に喝采の声を上げそうにもなるのです。
まずは「喫茶 ハト」にお邪魔することにしました。店名もシンプルで品があって、外観からだけでも長くこの地で愛されてきたことが感じ取れます。その客の多くはギャンブル客たちであるのでしょうが、平和島に限らず彼らの存在こそが数多の町場の喫茶店を支え延命させてきたことは否定できる人はいないでしょう。質素で飾り気のない店内ですが、それでも長い歳月を経ないと出せない空気感が充満しています。一瞥しただけでは他にお客さんもおらず、狭い空間に思われるのてすが、奥にも席があってそこには赤鉛筆を片手に新聞を開いたまま、メキシカンピラフなどを頬張るおぢさん達が数名おります。彼らはこれからもこのさり気ないお店を大事にし続けてくれるのだろうと思うと少し感謝したくもなるのです。 静かだった隣の喫茶店に比べると「信濃路 平和島店」は、大いに活況していて騒々しく感じられますが、実際にはそれほど喧しい客がいるわけでもないようです。大抵は独りで静かに呑んでいて顔見知りが入ってきた時だけ、二言三言挨拶とこの日の戦績を交換する程度なのでそう気にはなりません。視界を頻繁に過ぎって目障りなのが、店をやってるオネエさんらしき人の営業目的の呑みで、席を立って店を出て行ったかと思いきや他の席の客のところに移っただけだったり、今度こそ本当にいなくなったかと思いきや、カモが同伴で入ってきたりと忙しいことで結構なことですが、それぞれでしっかり瓶ビールを呑んでるので昼間なのに相当な酒量をこなしているのがすごい。夜になったらなったでもっと激しく呑んじゃうんでしょうから驚くべきウワバミ振りです。そうそう、この「信濃路」、知られた順で言えば鴬台を筆頭に蒲田、大森にも店舗がありますが、好みで言えばここが一番です。各店舗の良さを集約したのがこの平和島店と言っても過言でないほどです。そのそれぞれの良さは何だか的外れな気もしなくはないのでご想像にお任せします。肴も豊富でお手頃、当然食事のメニューも充実していてこういう店は日本中すべての駅前にあってほしいものです。きっとまだこの平和島にはこうした食堂を兼ねた酒場があるはずです。また来てみたい町です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015/12/10 08:42:41 AM
コメント(0) | コメントを書く
[大田区] カテゴリの最新記事
|