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カテゴリ:板橋区
なんでまた本蓮沼で沖縄料理かという疑問に関しては、その回答は後回しにするとして、とにかくこんな殺風景極まりない町で呑もうなんてまあモノ好きもいいところなのほ百も承知するもころです。広い中仙道に面して、その両サイドに都営三田線の出口があって、出口を誤ってしまうと悔しいばかりでなくうっかり自信満々に歩きだしたはいいものの、全くの勘違いでとんでもない方向に歩きだしてしまうなんてことにもなりかねません。というかこの夜のぼくはしっかり間違ってしまったのです。幸いにもこの大きな通りには路線バスが頻繁に往来しているので、方位間違いを犯していることに程なく気付くのですが、こうした方向感覚の欠如がもたらす出会いというのが町歩きの醍醐味だと必ずしも自己弁護ということでもなく思っているのですが、どうもそれを解せぬ無粋な人が世の中には多すぎるようです。
さて、そうした道に迷った末に行き着いたのが「居酒屋 家庭料理 島唄」です。この辺り駅からちょっと離れているのになぜか居酒屋が集まっています。以前池袋に向かう路線バスに揺られていた時にこの辺りですごいかっこいい大衆酒場の看板を掲げた店があったはずですが、どういうわけだか跡形もありません。自分の記憶に自身がなくなったのでストリートビューを見てみたらやはりその店が映っていました。ああここも手遅れになってしまったか。でも気に病んでもなくなったものは戻ってはこない。目の前にある店に集中しましょう。こちらもなかなかに枯れた店ではないかと、集中とは無縁のうつろな表情で見やって店内へ。店内は至って淡白で味がありませんね。でもまあそれなりに年季は感じられるし、どこがどうということでもないのですが広いカウンターが変わった感じがします。その違和感はどうやらカウンター内の調理スペースが広い割には動線が悪くて使いにくそうな事がもたらしているようです。品書きを見てようやく店名のことを思い出すなんて、なんてぼくは鈍いのだろう。そう、品数はそう多くなくその種類も少ないのですが、沖縄料理の品書きがやけに目立つのです。黙々と串打ちーでいいのか、焼鳥なんかの串を指す行為のことーをする女将さんは、ちらりと視線を上げて、板橋区は川崎市に次ぐ沖縄出身者の多く暮らす町なんですよと一言呟くとまた視線を伏せて串打ちに没頭するのです。見るとゴーヤを半月に切ったものを肉で巻いておられます。これは旨そうと注文しますが、明日のお通しの仕込みだからと応じてもらえません。出してくれても良さそうですが頑ななその表情を見るとそれ以上頼むことは躊躇われます。翌日着ていればよかったななんてことを思いながら一向に客の来ない静かな店内で黙りこくって呑むのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/05/07 08:36:45 AM
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