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カテゴリ:千葉県
生前だったり在職中にさほど世話にもなっておらぬ諸先輩たちにはほとほと苦労させられる。前者に関してはもはやとやかや言う相手がこの世に存在しないのだから愚痴ってみても詮無きことでありますが、後者については下手をすると我らの父親でもおかしくない世代であるのに、元気一杯、精力絶倫のままに素浪人となるのだからー惜しいことにこの精力は大抵の場合、個人の幸福にのみ向けられ社会へと開かれることはないのであるー連中が日がなブラブラと町を徘徊するとそれこそ黒澤の『用心棒』のようなやさぐれた荒廃した町がそこら中に出没するのである。と団塊の世代の余波を未だ享受するリタイア組を非難してみてもしょうがないことですが、借りも恩義もない絶倫オヤジをまたしても見送る会合を開くことになったのでありました。
予約したのは「隠れ家個室居酒屋 鶏彩 ~とりさい~ 松戸駅前店」という松戸駅の西口からすぐのビルの上にいつの間にかあったお店です。たまたま貰ったチラシによると杯数無制限でドリンク半額だったからこれは使わぬ訳にはいかない。見送りの花束まで用意して開始時間ズレれに駆け付けると主役を含む参加者たちが一様に不満げな表情を浮かべているではないですか。それも今回集まったメンバーが収まるにはいささかどころか相当窮屈であります。事情を尋ねると店から幹事さんーぼくのことだねーに席の用意ができぬのでキャンセルしたい旨の通知があったそうなのです。それでもムリクリ詰め込めば何とかなる席があるというのでヴェールのようなのにヒラヒラカーテンを気にせず着席すれば入れぬこともない事が分かり入れてもらったとのこと。いやはや参ったねえ。ここで店を変えるという判断ができていれば次なる悲劇を回避できていたはずです。でもいま定年退職していく人たちに対して偏見のあるぼくはもうどうでも良くなっていたのです。ならばこの狭くて暑い不運をーただし自ら招いたー跳ね返してやろうてはないか。半額ドリンクをガンガン呑んでやろうではないか。店員に勢い込んでチラシを手渡し半額宣言したところ、金曜はダメですとの酷いセリフ、確かにチラシをよく見ると◯月◯日〜◯月◯日まで半額の大きな文字の下にちっこく金土休日対象外の記載があります。1週間程度のキャンペーンで3日は対象外ってのはおかしくないか!と憤ってみせて他のメンツの苛立ちを逸らそうと躍起になるぼくは可愛そうだなあ。だけどこの店、若い勤め人を中心にえらく繁盛してるんですよね、これは一体どうしたものか、ぼくの感覚の方が世の基準からズレているのでしょうか。なのでポテトなんかの量と安さで決算額を埋まるためその後奮闘する事になりますが、くたびれたのでこの店のことはここまで。 なので松戸では数少ない気持ちの和む静かな「しぐれ」に移ることにしました。ここは先だって訪れてから結構気に入っていて、駅からはちょっと離れていますがそれがむしろ落ち着いた雰囲気をもたらしているのでしょう。こういう昔ながらのさり気ない店が自宅から歩けるけれどそう近くない位の場所にあってくれたらそれこそ一つ目の自宅に帰宅したような安堵と寛ぎに包み込まれそうです。でもこうした店にはまり込むにはまだぼくには早過ぎます。五十代の半ばを過ぎた頃に出逢えたら嬉しいのですが、その頃までこうした酒場が残っているものやら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/09/01 10:47:21 AM
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