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カテゴリ:大田区
東急多摩川線は、随分と以前から利用していて特に鵜ノ木駅には映画を見に通ったものです。当時は一心不乱に映画ばかり追い求めていたので他の町は車窓から眺める位でしたが、それでも窓越しに見える風景はどこか東京離れしていて、そのどことも知れぬ田舎町のように思われるのでした。そう駅間の広くない各駅ごとに通り過ぎていく商店街はいつかじっくり歩いてみたいと思いながらもなこなか実現できないままにここ数年でようやく落ち着いて訪れる余裕を作れるようになりました。当時とは変わってしまったところもあるのでしょうが、それでも現在の各駅の町並みからでも十分に昔からずっとそのままの姿を止めているんだろうなあと錯覚させてくれるだけの懐しさを失わずにいるのです。だけれど古い酒場ということになると随分減ってしまったという印象です。恐らくは都内南部の最大の繁華街である蒲田に酒場は集中してしまったのでしょう。そうじゃなくて多摩川線沿線の人が地元を避けて蒲田に立ち寄るのが状態化しているのかもしれません。
ともあれ、もとより日中に訪れているので酒場がやっていることに期待は寄せていません。下手な酒場よりずっと魅力的な大衆食堂にこれまで何度も門前払いを食らっているのだからそこに入れたら何の不満があろうものか。下り電車の改札を抜けるとすぐに「喜楽亭」はあります。何と大きな一軒家食堂でしょうか。都内の個人営業の食堂でこれ程の店構えはそうは残っていないはずです。そしてそこが少しも繁盛している様子がなくて、ねずみ色の薄汚れた外観と言っては失礼でありましょうか。いやいや、実際かなりのボロさなのでもし仮にこれをご覧になっても苦笑いして見逃してくれそうです。店内は雑然としていてもう少し整理整頓、油を拭うなどしてくれればそれなりに様になってタウン誌なんかでも取り上げられそうなのにちょっと勿体ない。店主オススメのチキンカツを単品で注文します。ビールをちびちび啜りながらボンヤリと店内を眺めますが散らかっている割には殺風景です。やがてチキンカツと共に姿を見せると急に饒舌になって、客の入りが悪いことやキャノンだがリコーやらのお客さんでかつては賑わったこと、いくら駅前とはいえバブルの時代でさえこの田舎では地上げ屋は姿を見せさえしなかったこと、30数年前に脱サラして店を継いだことなどを矢継ぎ早に語ってくれたのでした。カツはやや焦げ臭い香りが漂いましたが、ふんわりと柔らかく焼き上がっていました。う〜ん、お腹は一杯だけどもう一軒行っておきたい店があるのです。 一駅蒲田駅寄りにある武蔵新田駅に移動します。これでむさしにったと読むのですね。それはともかくとして一目散に悲願の大衆食堂に駆け付けたのですが「群馬食堂」は、早くもこの日の営業を終えたと見え、またも空振り。ついでに回り道した「柊」もまたもやお預けを食わされました。どちらも2時前には辿り着いていないといけないみたいです。次こそはと誓うのですが、また営業時間のことなど忘れてしまうのだろうなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016/09/24 08:29:35 AM
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