夜が待ち遠しい

2017/01/29(日)08:30

前橋と高崎を中心に行きそびれ喫茶巡り 喫茶篇 その2

埼玉県(173)

前橋では不調なままに終始してしまいましたが、その後、高崎から東京に近づくに連れていくらか手応えも出始めました。次に下車したのは深谷でした。深谷は駅舎の立派さと町並みの一見した退屈さでどうも以前来たままで、打ち捨ててしまっていたのでした。その後、素晴らしい大衆食堂を知って、そこは実際素晴らしかったわけですが、併せて深谷にも昔日の街道的な町並みもいくらか残されていることも知ることができました。それで性懲りもせずまたもや足を運ぶことにしたのです。  駅からそう歩かずに古い商店街の成れの果てのような一角があってそこに「レストパーラー 高原」というのがあるはずですが、しばらく右往左往してみたのですがそれらしき痕跡がありません。先日新潟を訪れた際にも高原という喫茶店がありましたが、そこもそうでしたがここ深谷もどこにも高原らしき地形は混じられません。なのに敢えてそういう店名とするにはそれなりの覚悟を持ってなされたことでしょうから、やはりそれは気になります。加茂の店舗は那須とか軽井沢の高原にあっても不思議はない別荘のようななかなか素敵な洋館で、内装も外観以上にシックで落ち着いていました。今回はそれは確認できませんでしたが、深谷の高原はどんなところなのでしょうか。それ以外にも良さそうな店がありますが、今は喫茶営業はしていないのでしょうか。  そこからは結構な距離を歩かされますが、それは真夏の酷暑のせいだったからでしょう。今この時点は寒さの底にあるので、今なら楽々歩けてしまう距離であったはずです。細い自動車道路の脇道に逸れた路地に「ホーリィ」はありました。ひっそりと静まり返っており、店内も薄暗い。80年代のアメリカンのテイストを幾分散りばめながらも、それなりに日本的な喫茶の定番的な造りも併せ持っています。でもその定番というのは何かもたらしているのか、多少散らかったところや、あれこれと貼り紙されているところかもしれない、昼寝して涼む常連からも感じられる店と客の距離感がもたらすものかもしれない、そういうすべてが交わっているのでしょうが、特別どうという店ではなくともここは他に変わることのないお店であることがお客さんたちの振る舞いが示しています。  前の店と比較すると「軽食・喫茶 プチ」は、グッと場末らしい趣のある忘れ去られ地元でも利用する数少ない方以外の視界には収まらないような印象のお店でした。いくらかスナック風の風情があるのもそれはそれらしくてそそられるのです。店内はスナックというにはこざっぱりと、余計なものはほとんどない。もちろんそれは洗練されているとか、店主の美的感性の発露とかいうものとは縁のない話であるようです。るしろ初老のママさんは自分にとって居心地よく清潔感の保たれた店造りに専心されてきたところに、経年の劣化を無理なく受け入れてきたことがもたらしたシミジミと心地よいお店なのでした。内装や家具などもこだわりなどという過剰さよりも機能性とか耐久性とかを重視されたようです。でもそうしたものを大切に扱う精神がこの店の基調となっていて毎日通いたくなるのでしょう。幾人かの常連さんの幸福そうな姿を見るとそう思わないわけにはいかぬのてす。

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