夜が待ち遠しい

2017/05/29(月)08:30

富士見台には思いがけずも酒場が充実していた

練馬区(40)

いや、消して富士見台に来るのが初めてという訳じゃないのです。でもまあ一軒の大衆食堂を何年か前に見かけて以来ちょっと気になっていたことを朧気に記憶していただけて、他に特別気になる酒場があるわけじゃあなかったのです。なぜ気になったのかは語るまでもありますまいが、見た目の渋さと昼から酒呑みで繁盛していることが分かったからです。そんなこともあって正直ここまで来る面倒を考えると二の足を踏んでも致し方ないと言ってもいいのではないか。なにせ最速で富士見台駅に到達するには、池袋駅から西武池袋線で準急に乗って練馬駅で各駅停車に乗り継ぐという事になります。いろんなタイプの運行をしているので、準急は十分に一本程度で随分ホームで待たされる羽目になりますいやまあ当然ながら糊付きが良いタイミングということありますが、この日のぼくはしっかり十分待たされてしまいました。練馬での乗り換えもそれなりに待たされすっかりウンザリしました。地方の乗り継ぎと都心の乗り継ぎでは気持ちのモチヨウガまるで違うのです。まあ日常と旅先の非日常との差異があるのは分かっています。ともかくようやく辿り着いたときには呑みたくて仕方がなくなっていました。2軒目に駅前の例の大衆食堂に寄るとして、もう一軒何処かに立ち寄っておきたい。  うっかり北口に出て練馬高野台駅を目指したのが間違いだったかもしれません。歩けどここぞという店がない、どころかどんどん暗くなる一方でそろそろ折り返さねば、いつまで経っても酒に辿り着けぬ。ようやく目に止まった「春ノ家」もやっていないみたいだし、もしかするとずっとやっていないのかもしれない。ここで線路を渡り南側に移動すると、なんだ、ちゃんと酒場があるじゃないか。「大貫」はいい感じたなあ。当然暖簾をくぐるのですが、ご主人は残酷にも今晩は予約でいっぱいと断るのでした。  まあ、この通りにはぼく好みの店がチラホラしているのです。まずは「とくとく」にでも入ってみることにしますか。まあ店内はどうでもないかな。しかしまあ呑みたい欲求は最高潮なのでした。これぞという決定打のないお店です。早速呑みたいのに悩みに悩んでしまう。悩みの種は値段ばかりなのが情けない。さらなる障害があって、テレビでは近頃見掛けなくなった『ドリフの大爆笑』が放映されているのです。いかりやと仲本、ブーが小林幸子のキャリアウーマンとハシゴ酒するというコントが流れていて、オチが4列に立て掛けられたハシゴに腰掛けて呑むというもので、まあ実に他愛ない。他愛ないのに見入ってしまうのであります。ドリフはクレイジーキャッツより低く見られる傾向があると思うのだけれど、ぼくにとっては圧倒的にドリフを評価する。邦画のオータイムベストで無責任時代なんて笑えぬ喜劇が持ち上げられるのに渡辺祐介のドリフの佳作が無視されるのが許せぬのです。一体世に寄生する映画評論家やらコメンテーターなる人種はホントに植木等を面白いなどと思っているのだろうかーぼくは谷啓はまれにお混白いと思うー。というかそれ以前に渡辺によるドリフ映画を見たのだろうなと詰問したい。って、少しもこの酒場のことを語っていないのですが、それも致し方ないのであります。どうってことないのだから。ぼくは実際ドリフのことしかお喋りしなかったからね。  もう少し駅に向かって歩くと「川名商店」というのがあります。十時には店を閉めるということですが、まだ一時間弱あるので問題はない。焼鳥のテイクアウトのお店だったのを呑み屋も併設したという感じ。それはいいんでないの、歓迎すべきことです。察しのいい方はすぐに気付かれたはずですが、中村橋、桜台、阿佐ヶ谷に店舗を持つ酒座の流れであるとのことです。女将さんにその辺のことをさり気なく伺いましたが、言葉を濁されていたということは、まあ何だ色々あるんだろうなあ。客は近所の隠居し損なった高齢の方が多くて話題は勤め先の愚痴が多いのは聴いていてやや鬱陶しい。そういえば背広のおぢさんもいたけど個性のない置物のように少しも存在感がないのです。従業員の他の女性たちも極めて感じがいい。これって大事なことで、肴は手頃だけどまあ値段相応なのだけれど許せてしまうのです。不満を解消してくれるサービス、それはありなのだろうなあ。いつも語る通りにぼくにとって肴は飾りのようなものなのだから。でもまあここのもつ煮は嫌いじゃないなあ。油っこくないんですね。スッキリしている分、淡白で印象に欠ける嫌いはあるけれど、脂に弱いぼくにはちょうどよい。愚痴ばかりのおっちゃん、おばちゃんも帰って店の雰囲気は、軽くなったけれどここはどうも長居する店ではないという、ぼくにとってはうってつけのスタイルなので素直に目先の酒を呑み干すと席を立ったのです。

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