夜が待ち遠しい

2017/07/02(日)08:30

日光ー足尾の欲張り日帰り旅 日光篇

栃木県(23)

この旅を思い立ったのはもう何年も前のことです。そもそも日光にはあまり行きたくはないのです。何故行きたくないのか、何度も東照宮を訪れたことはあるということもありますが、それ以上にじっくりと一日をかけて巡る優雅な旅の仕方は老後の楽しみに取っておくことにしています。そのときはもちろん金谷ホテルにも宿泊するつもりです。もしその前にコロリとあの世へ旅立ってしまうならそれは縁がなかっただけのことと諦めればよいのです。それだから日光は敬遠し続けていたのですが、足尾にある酒場にどうしても行きたかったので、日光で唯一行きたいと思っている喫茶店にもついでに行けるので、ついにいを決して決行することにしたのです。  旅のお供は今回も酔狂な旅に少しも楽しそうな素振りは見せぬけれど、付き合ってくれるS氏なのであります。今回もあまり登場の機会はないと思うけれど、この先思いがけずも唐突に登場するのも不躾すぎるので取り敢えずは書き留めておきます。ちなみにぼくは、前の夜、したたかに呑み過ぎてしまい、絶不調ながらも律儀に自宅を出て、6時過ぎには北千住駅から東武伊勢崎線に乗り込むのでした。当然ながら株主優待券を利用します。9時頃には東武日光駅に到着します。いつもの事ですが、東武日光駅前は、一大観光地にも関わらずしけたムードです。それでも目当ては駅前にはないので、気にせず東照宮を目指して歩きます。ぼくの知る頃に比べると大分小奇麗に整備されていますが、あまり面白みのないのは変わりません。観光客の多さに比して余りにも飲食店も不足しているのではないだろうか。まあ集客が日中しか見込めぬ以上はこんなものか。メジャーな寺社だけで経済が成り立つような町の多くは、似たりよったりかもしれません。  目当ての店は「お食事 喫茶 すいらん」だったのですが、どうも思っていたのと違っています。しかもやっていないとあっては、よもやの店内が素晴らしいなんて逆転劇も起こりようがありません。客足の多い土曜にやっていないということは閉店されたのか。失意に肩を落としますが、実は東照宮へと逸れる道の路地に遠目にもこれは間違いないと追わせるお店を見止めていたのでした。 「コーヒーショップ ダフネ」がそこです。正統派でクラシカルな佇まいはもはや語ることすら虚しくなります。本来の目的を忘れて、ここに来れたことだけで来た甲斐があったと思わせるに充分です。もう欲張って歩き回らずここでずっと移動の時間までを過ごせばそれでいいとさえ思うのです。そんな甘い誘惑を断ち切るのは至難なのでありますが、唯一難点があります。絶好のポイントと確保した窓際の席ですが、この細い路地は裏道であるとの思いとは裏腹に、ツアー客の抜け道となっているらしくとにかく夥しい人達が好奇の視線を隠しもせずに耐えることなく通り過ぎるのでした。金魚鉢のランチュウにでもなった気分にくたびれてようやく席を立つことにしたのです。  その後、欲をかいて「ベル」、「草原」、「樹仁亜」、「らんぶる」、「カフェ フルール」、「てんとう虫」を巡りますが書き留めるまでもない。「COFFEE ニュー沖の」は、閉まっています。  けっこうな距離を歩いて二日酔いが遅れてひどくなってきました。こんな時ぼくは食事を取らねば耐えられぬのです。なんとか良さそうな食堂でもないものかと歩き回りますが何もない。期待もせずに引き寄せられた「レストラン マコ(Mako)」が下手な喫茶店より風情があったのでここに書き残します。酒もあるので酒場ネタにしても良かったのですが、二日酔いが酷すぎてその余地もありませんでした。 足尾へと向かう路線バスの車窓から「ピノキオ」という良さそうなお店があるのを見止めますが、路線バス以外の足を持たぬぼくには黙って見送るしか手はないのでした。

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