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カテゴリ:喫茶店
順調に続けてきた旅ですが、ここに来て少しばかり披露を感じ始めました。喫茶店だけならまだまだ意気揚々と活動できるはずですが、途中2軒ー酒場篇にはすでに3軒が登場していますが、京王線にお詳しい方ならその路線図的に想像いただけるはずーで呑みも交えてしまったのでさすがに倦怠感というか虚脱感のようなものにも似た、まあ一言でだるさに見舞われたのでした。まさに一憩のひと時を過ごすためにこそ、本来の喫茶店の機能であり、客にとっての目的であるのでした。なので分倍河原では、その本来の目的を果たさんがために下車することにしたのでした。
ここには、以前訪れた際に滑り込みアウトとなった「カトレア」があります。民家のような小さな家屋の2階にあります。薄暗い階段を上がると意外と言ってはナンだけれど、思った以上に純喫茶らしい佇まいがありました。花がたくさん飾られるようなオバちゃまたちの寄り合いラウンジのそっけないムードかと思いきや、ソフトなヨーロピアンな雰囲気があります。クリーム色の合皮のチェアも具合が良いのです。もう夏とそれほど変わらぬような強い陽射しの中から目に優しい薄暗さの只中に急激に移行したこともあって、強烈で蠱惑的な睡魔に不意に陥りました。独りで店で眠り込むなどという無作法は避けたかったのですが、抗い難かったのです。そう長い時間そうしていた訳ではありませんが、申し訳ない気持ちになって慌てて席を立ち店を出たのでした。 府中では特に目的があったんじゃないけれど、ふと気が向いて降りることにしました。しばらく歩いて「ウェザーコック」なる喫茶店があったので入ってみましたが、何となくそんな気はしていたけれど以前お邪魔していました。とりわけどうというお店ではないけれど、そこそこにシックで落ち着ける空間です。そんな過ごしやすい店だからやはりここでも睡魔の誘惑にやすやすと乗せられるのです。しかし時折、テーブルに突っ伏して堂々と寝ている人がいるけれど、あの大胆さを無法だと思う一方でさぞや気持ちのいい事だろうと羨む自分もいるのです。いやあ、ぼくももう少しばかり図々しければ、人生も随分違ったものになったはずなのだがなあ、と凡そこのオーソドックスで使い勝手のとてもいい喫茶店で考えることではないのだがなと、そっと微苦笑を浮かべてみたりするのでした。ひとり演技が始まりだすということはそろそろ引き上げ時かもななんて思ってみたりもするけれど当然にぼくはそれほどには往生際が良くはないのであります。 京王堀之内の駅前にはいかにも川崎のベッドタウンらしい、人通りはあるけれど何だか人間味に欠けるよそよそしい町並みが広がっています。そんな駅前の大きな通りを渡って、裏手の通りを歩いてみてもやはりそこには味気のない住宅があるばかりです。そんな町にあっては、「友愛珈琲店」の上品できれいだけれど、喫茶好きには少しばかり物足りなく感じられる雰囲気ですら、憩いの場所となりうるのであります。陽が落ちて仕事帰りの女性一人客や近所の御隠居さんたちが集っています。一般的なボックスの客席に加えて、サークル状の大きなテーブルもあり、そこだけはいくらか個性的な風貌を見て取れます。町には街灯が灯り始める時間帯になって、ぼくもようやく夜への臨戦態勢が整いました。それではいよいよこの日予定していた最後の町に向かうことにしましょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/07/23 08:30:05 AM
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