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カテゴリ:東京都その他
JR青梅線はあまり馴染みのない路線であります。そりゃまあ何度かは乗車しているけれど、下車したことのある駅などたかがしれたもの。そんな駅の一つが中神駅であります。東中神駅では一度だけ喫茶店巡りの流れの中で下車したことはあったけれど、駅前には団地が立ち並んでいて少しばかり歩いてみたけれどあまり楽しかったという印象はありません。中神駅も似たようなものなのだろうか。なんてことを思いながら駅に降り立つと、少しばかり様子が違っていて駅前には商店街が連なっていたのでした。とはいえそれ程見るべきものがあるわけじゃなく、ほどなくして目当ての酒場に到着しました。タイトルにあるので、今さらではありますが酒場放浪記に登場したお店に向かったのであります。実際の放映は思い付いた時にまとめて片付けるなり、放置しっぱなしになったりとかなり出鱈目な鑑賞方法で、本当なら行く前に見て番組との違いを吟味してみたり、実際にその店にお邪魔した後に帰宅後振り返りで眺める、なんてのが好ましい鑑賞法といえるのでしょうけど、なかなかそうもいかぬのであります。しかし、今回は珍しくも前者の、つまりは中神に来る前にちょうど番組を見ていたのであります。その放映で映し出された当の酒場は、まず第一に非常に好みの店であるということでありました。店名すら定かならざる素っ気ない構えに加え、店内の様子もセピア調に薄暗くて情感に溢れていました。こういうのって危険極まりないのだよなあ。テレビの無機質な画面というのは何物をもキレイに映し出してしまうという瑕疵を否応なく伴ってしまうもののようであります。
外観は悪くないというか見たまんまでありますが、番組で見るほどのインパクトに欠けているように感じられました。なのでここで気持ちを切り替える必要があります。大事なのは単純だけれど期待し過ぎないことです。なので外観が思ったほどでなかったのは、大いに歓迎すべきことなのです。これによって必要以上の期待はどこかに引っ込んでしまったようです。なので「とり中」の店内に足を踏み入れた際には、番組で見たのとそうは変わらぬけれど、番組が取りこぼしてしまったような細部がいちいち感動的なのであります。ご夫婦連れと酒場マニアらしき青年がいるばかりの年明け早々の店内は静謐さに包まれていてそれがなんとも心地よいのであります。特にすばらしいのが土間から上がった店の奥にある便所までに至る廊下からの眺めでありまして、四畳半程度の客間風の座敷がありますが、ここの暗さはもう長いこと経験をしたことがない位の真の暗さであったのでした。真っ暗闇が本当の暗さであると感じるのは誤りなのであります。さて、そんな具合で内観の素晴らしさに目が眩んでしまい―何も眩(まばゆ)いばかりが視界を眩ませるわけではないのであります―、焼鳥や酒にはほとんど記憶はないのでありますが、その点はご勘弁いただきたいのであります。微かに覚えているのは、焼鳥の串の種類の豊富さであって、実に様々な串が供されるので、好き嫌いがないのであれば、お任せで頼んだ方がついつい頼みがちな定番に偏らず、思いがけぬ味覚との遭遇が待ち受けているかもしれません。次回伺う機会があったらそんな風にじっくりと腰を据えて楽しみたいものであります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018/02/14 08:30:05 AM
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