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カテゴリ:荒川区
日暮里で呑むのもやはり飽きているのです。こう毎度のように飽きていると書いていると、これはもしかすると酒を呑むという振る舞いに飽きているのじゃないかと思うのだ。確かに飽きているような気がしなくもないのです。この飽きているという気持ちを優先して、スッパリと酒をやめてしまった思い切りのいい人も知らぬではないのです。しかしまあ、意志の弱さでは日本でも指折りであろうという自負のあるぼくとしては、そう簡単に酒を捨てるには至らぬのであります。このままでは話は前に進まぬので気を取り直してみるけれど、日暮里には多少なりとも好みの酒場が何軒かあるけれど後はもう落穂拾いのようなものだと思っていたのです。しかし、知人が最近知ったという万能酒場の存在を知らされ、しかもそのお方の接待まで受けられるとなっては行かぬわけがないのであります。いやいや、タダ酒は消して嫌いではないけれど、何もかも好むわけではないのです。やはり見知らぬ酒場との出逢いを大事にしたいのです。 日暮里駅前に林立する高級マンションの一棟にはそれなりに知らなではない酒場の何軒かがあるのですが、「青い地球」というこっバズカシイ店名の店をご存知の方もおられるかもしれない。ぼくもその存在は知っていたけれど凡そぼくのような者の立ち入る雰囲気ではなかったのであります。いやいや外観はそんなに大層なゴージャスムードを放っていたなんてことは少しもないのです。見方によればむしろチープなスナック風と思えなくもないのです。スポンサーに誘われるままに店に入ります。その雰囲気はやはりどうもスナックそのままであって、ぼくの思い描くある意味では鋳型にハマった凡庸な感性ではこれは違うんではないかいと思わざるを得ないのです。しかし、そこから先は美食のオンパレードということになるかと思いきや消してそんなこともないのであります。誘ってくれた彼には悪いけれどここはあくまで良質な家庭料理を出してくれる店なのです。焼きそら豆なんかは料理とかどうこういう品でもないからまあ置いておくとして、手の混んだ例えばボロネーゼのパスタなどはなかなか頑張っている。けれどぼくにもあれ位なら作れなくはないと思うのです。ちゃんとしたレシピをちゃんとした手順でコツコツ辿ればここの味に劣らぬ程度の料理を拵える事はできそうです。しかしね、一人だけで、しかも何人分もの多様な肴を用意するとなるとまた話は違ってきます。それができるところがこの店の頑張ってるなあと感心する点です。いや頑張るなんてのはさして意味のない事です。頑張りが結果に結実してこそその頑張りが輝きを放つわけです。そしてそれを暑苦しくもアピールするようではいけない、さり気ない表情でサラリとやり遂げてこそスマートなのであります。そう店の人は目立っちゃいけないのです。でしゃばりな店主というのは少なからずいるけれど、ああいうのは基本的にはマルデダメオなのです。ちょっと美味しい物を静かな環境で落ち着いて頂ける、ここはそういった類の店であり、麻布とかとにかくそっち方面の成り上がり芸能人達の出入りするような隠れ家系のお店はそんな感じかもしれぬが、ここ日暮里では比較的お手頃に似たような雰囲気に浸れるのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018/07/17 08:30:11 AM
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