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カテゴリ:中央区
茅場町には、実に多くの立呑み屋があるようです。その何軒かには寄らせてもらっているし、他の何軒かも目撃しています。その経験やら目撃した限りにおいて、この界隈の立呑み屋にはどうも相性が良くないようだとの感想な帰結せざるを得ないのです。別に茅場町の酒場を常用する紳士や淑女たちの事を貶めようなんていう意図はさらさらないし、安く手軽な立呑みという選択肢は大いに正しい選択と共感する。だけれども彼らは少しばかり立呑みを愛しすぎてはいないだろうか。とにかくどこもかしこも繁盛していて、よくぞあの環境で大いに盛り上がったりできるものと感心するくらいなのです。この町には日本の経済を動かしているらしき大きな企業なども多いようで、つまりは日本のエリート層も少なからず跋扈しているなだろうけれど、立呑みに出入りする人たちはさしずめそんなエリート集団から締め出されたような人たちなのだろうかと皮肉にも思うのである。なんてったって彼らは同業他社のライバル達がそっと立ち呑む群衆に紛れ込み聞き耳立てているかもしれぬのに、平気で社外秘ではなかろうかというような話題を繰り広げてみせたりするのです。しかもあえて聞き耳を立てずとも、そんな話など興味すらなく聞きたくもないと思う者にも筒抜けの大声量で喚き散らしていたりもするのだから、茅場町には産業スパイなどの存在すは意義はありはしないのであります。
とまあそんなだから、すがれた―なぎら健壱が好んで用いる言葉なので使ってみました―酒場を好むぼくには茅場町の立呑み屋は敷居が高いのであります。まずは「standing ギョバー 茅場町店」にお邪魔しましたが、ここは珍しくも閑散としていたので、ひと安心です。おまけに店のスタッフは女性中心で可愛いコが多いのも加点すべき要素であります。しかも可愛いけれどすげえ感じの悪い奴らばかりという、とんでもなく倒錯したコンセプトが売りの店というのも案外に遭遇するのだけれど、こちらは普通よりちょいと感じがいいという程よい―つまりは一言二言軽口は叩いてみたりするけれど、それ以上の発展は望めぬことが容易に察せられる頃合の―女のコ達が揃っているのである。火遊びはもう卒業だと考える中高年世代にはお誂え向きで、ここはそんな世代を照準に据えたお店なのではないか。少しばかりアメリカンなくだけたムードも、この世代のオッサンたちであればカッコいいじゃんオレなんていう自己陶酔に浸れそうであります。それはいいなあ、ぜひ行きたいと思われた方も居られるかもしれぬ。しかしそれにはしっかりとカラクリが仕込まれているのです。もったいぶらずとも答えは明らかですが、値段にこのムード代は含まれているのです。それも高いというにはちょいアレだけど少なくとも立呑みの値段ではないなというさじ加減が憎らしい。気持ちだけでも若返りたいという小銭持ちの中高年にはよろしいのではないでしょうか。 一方、「越後十日町そば がんぎ 新川一丁目店」はとんでもない混雑ぶりです。繁盛店ではカウンターに正対せず、斜に構えて並ぶようなお店もあるらしく、それをダックスとか言ったりするようだけれど、ぼくはそんな酒場用語を公然で口にする勇気はありません。良く言えば恥じらい深い性質なのであります。それにしてもこんなに窮屈な思いをしてまで酒を呑むとはご苦労なことだと思うのです。仕事を終えてひと息つきたいところを場所取りに始まり混雑をかき分けての注文やら思い出しただけでうんざりしてしまうような大儀なことをしなくてはならぬ都心のサラリーマンは気の毒に思えるのです。通勤時には満員電車に揺られているだろうに、わざわざ一苦労してまで立呑みで過ごすとは彼らこそホントの呑兵衛、大都会の呑兵衛の鑑であると言えましょう。それにしてもこんな状況下でそばを啜ることが果たして可能なのであろうか。いくらへぎそばが短めに一口サイズに取り分けられていてもなかなかに厄介であろうと思うのです。それとも時間帯で客足が途絶えたりするのだろうか。そんなことは余り期待できなかろうと思いつつ、早々に引き上げたのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018/09/07 08:30:08 AM
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