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カテゴリ:埼玉県
またも線路沿いを駅方面に歩いていくと、おお、どうやら開店はそう遠くないらしい。女将さんらしき方が掘立小屋―これは屋台と呼ぶのは適当なのだろうか、ぼくの気分では屋台というのは可動式の移動可能な店舗をそう呼びたいような気がする―の前で、炭火を熾しているらしい。先程通り過ぎた際は一つが家庭用物置程度の白い謎の箱が3つならんでいるばかりでとてもここで商売ができるようには思えなかったので、半信半疑だったのですが、こうして女将の姿を確認できると俄然興奮は昂じるのでした。しかしまだ開店までは間がありそうです。しからば久しぶりにあのお店で少し時間を潰すことにしようか。
ぼくがわざわざ紹介するまでもない「いづみや」であります。まず本店の方を覗いてみたのだけれど、満席とのことでお断りされました。まあ気にするまでもない。S氏が行きたいと言っただけのことなのだ。ぼくとしては、「いづみや 第二支店」の方が好みなのです。何が好きって、ごちゃごちゃした店内の迷路とは言わぬまでも入り組んだ席の配置が楽しくて仕方ないのです。孤独を噛みしめつつ呑みたい時には壁に向かって呑むもよし、陽気に何人かで騒ぎたいや気になるオヤジと交流したい時は追い込み式の卓席も良しと万能振りがぼくに向いているのです。本店の整然とした配置もそれはそれで好きだけれど、それだとどうしても人々の顔つきも似たような様子に見えてちょっと物足りぬのであります。先があるので控えめに、煮込みと何かを頼んだら売切れだって、本店にもないみたい。相変わらずの大盛況でやはりここはいいなあと納得の酒場なのでした。 さて、そろそろ「おでん屋台 ゆたか」を目指すことにしましょう。横浜駅を囲む運河前にもこういう掘立小屋の酒場がずらりと並んでいましたが、何年か前に突如撤去され結局1度しかお邪魔する機会はありませんでした。ここ大宮にも小屋は3つ残っていますが、今でも営業を続けるのはここだけで、お隣は5年前に店を畳んだとのこと。でも女将さんの様子を見る限りではまだまだお元気でいらっしゃるから当分続けてくれるんじゃないかと安心しましたが、それでも何があるか分からないですから、今回無事にお邪魔できて僥倖でありました。お隣になった女性のお喋りなお客さんは東日本大震災でいわきから避難してこられたそうな。来られてからしばらくは「いづみや」でお勤めだったとかで第一支店は浦和にあったことなどを教わりました。ちなみに席はたった5席だけですし、これからおでんの季節で出すようになるともっと早く席が埋まってしまうらしいので、様子を伺いつつ開店したら即入店することをお勧めします。情報提供くださったハードコア丸山さんには改めて大感謝を申し上げておきます。 実はまだ生存確認を済ませていないので、公表は差し控えますが都心からそう遠くない土地にやはり同様の屋台というか小屋の酒場が数軒残っているらしいので、いずれ遠くない時期に報告できればと思っておりますので、この手の酒場が好きな方は乞うご期待です。
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ゆたか まだ ありましたか…
嬉しいですねぇ 蒲 そういえば蒲田から わざわざタクシーで飛ばして4人でくり平に行ってきました! 安定感ある酒場でしたー ゆたかに近々 出撃します (^ ^) (2018/11/14 07:56:54 PM)
ハードコア丸山さんへ
「ゆたか」、楽しかったですねえ。 ウィキペディアによれば「屋台とは、屋根が付いていて、移動可能で、飲食物や玩具などを売る店舗」とあります。 移動不可能ということで、「ゆたか」はこの定義からは零れ落ちてしまうかもしれません。これまで屋台が好きとか簡単に述べてはみましたが、どうも夢に思い描く屋台というのはもはや『サザエさん』などにしか存在しないファンタジーなものなのかもしれません。 ぼくの理想としては人力でもオートバイでも何でも構わぬけれど可動式であることと飲食スペースにもちゃんと屋根と席があることが挙げられます。調理場と飲食スペースが一体であるのが理想だけれど、あまりに高い理想は絶滅危惧種を取りのがしかねぬから、適度な諦めも必要と思っています。 だって、そうやって理想ばかり追い求めては「ゆたか」のような酒場も素通りせざるを得なくなりますから。ここは厳密には屋台ではないかもしれませんが、余り適当ではないかもしれませんし、語呂も良くないけれど収納式酒場小屋とでも呼ぶのが相応しいでしょうか。 「くり平」、行かれましたか。見てくれは相当な年季を積んでそうですが、案外そうでもないみたいですね。でも最初にちゃんとしたハコを作りさえすれば30年もすると実にいい味わいを放つようになるのだと感心するとともに、酒場の経営を志す者には見習って欲しいと思いました。 (2018/11/15 05:07:20 PM) |