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カテゴリ:千葉県
松戸のずっと懸案だった一軒の店のことを書きたいと思っているのです。でもそこの事を書くだけじゃ、とっても短く纏まってしまうだろうから、かさ増しにあと一軒を付け足してみることにしました。好きなものを語ると饒舌になる人とそれとは逆に押し黙ってしまう人がいます。実際にはそれ程に事は単純ではないのだけれど、まあここではそういう事にしておくのであります。ぼくの場合は明らかに後者のタイプであります。というか、元来が何事かを語らんとする際、その語るべき対象と真摯に向き合えるか否かというと、ぼくは到底向き合っているとは言えぬのであります。どうしてそうなのか、理由は簡単なことで語れば語るほどその対象は実際に目の当たりにしたそれと乖離するように感じられるからであります。言葉を弄するほどに真実とかけ離れるもどかしさと徒労感に打ちのめされるのは出来るなら避けたいのです。といった訳で質より量というつもりはないけれど、あさましくも感じられかねぬ所業とはなりますが、二本立てにてご覧下さい。
ということで、一軒目は「松戸香房」というマンション一階テナントの中華料理店の報告から。ここの最大にして唯一の特徴は看板に店名が見当たらぬ事です。だから何だとツッコまれると返す言葉はないのでありますが、まあそういう事でありまして、他に間違えるようなお店がないからそれはそれで構わぬのかもしれません。中華系のお店は店子の入れ替わりも激しいし、気分転換するように店名を変えたりすることも少なからずあるようだから、あえて初めから店名を排するというのも一計と言えなくもない気もします。しかし、一方で中華街などに行くと目に付くのは金箔で龍がうねるが如くに大書された中華字体こそが町の景観を形作る要因ともなっていることを思うと少しばかり見た目に楽しくない気もします。まあ店内のコーヒーショップのような様子を見たら、中華料理店にも新たな波が到来したということか。日本などとっくにそうした時流に呑み込まれているのだから、他国で同様な潮流が認められるからとガッカリしても失礼な話かもしれない。しかし、一方で似非レトロが席巻とまではいえずともそれなりの勢力範囲の拡大を遂げている事を鑑みると、中国の人にはもっと長い目で将来を占ってもらいたいものです。マオイズムは現代にこそ活かせるのではないか。なんて事は置いておくとして、ここ案外料理がちゃんとしているのですね。中華というと大量の油で一気に火を通すというのが秘訣とされているけれど、ここのはぎりぎりまで油の量を控える事で胃が重くならぬよう配慮されている様に感じました。まあ、すぐに呑みに徹してしまい、ちゃんと味わう余裕などなかったのだけれど、そこはまあ店舗のイメージと料理のイメージを摺り合わせようという展開上、仕方のない事なのです。 さて、ずっと気になっていたお店というのは「レストラン 松戸スエヒロ」であります。今、ネットで調べたら松戸に三ケ所同名の洋食店があるので多分系列のお店なんでしょうね。写真で見る限りは、どこもクラシカルというよりは古めかしい装いでなかなかに良い雰囲気なのでありますが、最も喫茶好きを惹きつけるのはこの松戸駅から歩いて五分程の商工会議所のビルの中二階にある店舗ではないでしょうか。実際お店は喫茶店と称しても何ら違和感のない造りになっています。失礼ながらぼく以外に一人しかお客さんがいなかったのだから、むしろ喫茶営業をメインに据えたほうが入りは良いかもしれないなどと思ってしまいました。ハンバーグカレーとビールを注文。味は可もなく不可もなくなので、それにしてはお値段は少しお高めかしら。喫茶店ならコーヒー飲んでもせいぜい400円程度だろうから。いやいや、そういう意味で喫茶店に鞍替えする事を提案したのでは消してありません。表にも人通りがなく調理後は物音一つしない静まり返った店内は、いつの事か忘れてしまったけれど、ずっと前に感じた心の奥底からの孤独感を味合わせてくれて、この孤独を味わうためにも是非とも夜に訪れていただきたいと思うのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019/01/08 08:30:09 AM
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