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カテゴリ:中部地方(北陸・東山・東海)
喫茶への情熱は、ぼくなとと比較にならぬ方たちは少くないので、ここでこうしてぼくが惰性のように喫茶巡りをしてそれを報告したとしても余り意味などないんじゃないかと思ってみたりする。それでも日曜日には、喫茶巡りの記録を飽かず乗せ続けているのは、止めるキッカケを見失っているからに過ぎない気がするのです。唯一、そこに意味を見出すとすればこれまで余り報告されたことのない手付かずのお店に遭遇した時を報告する時です。まあ、こうして私的な日記を装ったブログという媒体を利用する以上はそれなりの自己顕示欲もあるのであって、ならば顔見せしてステップアップを目指せば良いではないかという指摘もあったりするのだけれど、そうまでする覚悟は毛頭ないのだからますます何を目的にして、こんな面倒を日々修行のように繰り返すのかと省みると、元に戻るけれどやはり止めるキッカケを掴み損ねているとしか言えぬのです。
さて、旅の途上にそんな詰まらぬ事を思っているはずもないのでありまして、夜も更けてきて酒場へと気持ちを切り替えたところで「珈琲専科 光林」に遭遇しました。無理はしたくないと思うけれど、その躊躇が後に後悔を呼び起こすことは良く分かっているし、そう思う程度には伊勢はそれなりに遠いのであります。さて、「光林」は正統派でありながらも年季を滲ませ、かつ部分的に個性的な家具のレイアウトも施されたりしており、案外悪くないのです。で、しかも見た目の重厚さからは想像も及ばぬお手頃価格も旅の最中というのは知らぬうちに散在しまくることになりがちなのでとても助かるのであります。JRの駅前からすぐと立地もいいので、使い勝手はとてもいいと思います。 さて、「コンスレートイセ(Consulate 伊勢)」、「COFFEE ホットライン」、「喫茶 ラブ・クール」、伊勢駅前商店街「喫茶 局」といった廃業喫茶も多く見かけました。どこも外観のみで内観の痕跡を確認できなかったのは残念ですが、さすがの大観光地、かつては喫茶天国だったことを確認できました。 甘味処というのが近い「若草堂」では、この旅で最後の伊勢うどんをいただきました。少し味付けが余所よりも濃くて正直、朝早くから食べるのはちょっと辛いのですが、この懐かしい景色がありさえすれば他の瑕疵は一切気にならぬのであります。コーヒーの味がどうこう言っては野暮というものです。クラシカルな内装にオレンジのチェアが映えて、そのアンバランスなセンスが絶妙なバランス感として捉えられるようになるのは、これは時の経過をもってしかなし得ないことであると思われるのです。きっと開店当初のまだ真っ新だった店内にこのオレンジはいささかドキツク感じられたのではないか。それが時間によって調和を獲得するようになるのにどれほどのお客さんが出入りしたのだろうと考えると、ここにいる時間がとてもかけがえないものに思えるのです。 同じくオレンジ色のチェアを配した「純喫茶 ロマン」―この店名、引き込みの看板と店先の袖の看板と異なっていたようで正確かどうか確認していませんが―は、伊勢の喫茶店では一番オーソドックスだけれど、もっとも好きなお店でした。前夜通過した際にはもう店を閉めていましたが、あくる日の朝は普通に何気ない様子で店を開いていてくれました。こちらもJR駅前の小さな商店街のそのまた路地にありまして、目立たぬ場所なのに数名のお客さんがホットケーキや伊勢うどんなど好き好きに召し上がっており、どなたも満足気な表情を浮かべられていたのが印象的です。 といった訳で、伊勢の喫茶店はどういう訳かあまり脚光を浴びることがないようで―ぼくのネット検索技術の低さのせいかもしれないけれど―、これまで足を伸ばすのを躊躇していましたが、今回のわずかの滞在期間でもこれだけの見所があったのだからまだまだ探れば素敵な店も少なくなさそうです。酒場にも未練を残したので、いつかまたお伊勢巡りをしたいと強く感じました。
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Last updated
2019/04/21 08:30:12 AM
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