夜が待ち遠しい

2019/06/05(水)08:30

両国で相撲観戦の後はここで決まりかな

墨田区(57)

 両国という町は、お相撲とちゃんこの町であって呑み屋の町ではなさそうです。呑みには相撲もしくはちゃんこが付き物で、ぼくも相撲観戦も何度か行く機会を得ているし、ちゃんこ鍋屋で飲食したことも指折り数えられる程度だけどあるのであります。けしてここで自慢話をしたいわけではありません。両国で相撲を観戦したとして、それが升席だったりするとまあお土産やおつまみなども付いてきてそれはまあ狭く窮屈で苦しかったりもするけれど、それでもやはり稀有な体験をできていると楽しくなったりするのでありますが、そんな観戦後にちゃんこ鍋を食べる胃袋の余地など残されてはいないのであります。だから軽い肴でしっぽりと呑めるようなお店が記帳に思えるのですが、これが界隈を探してみてもなかなかこれといった店が見つからぬのでありますね。  相撲には、これっぽっちの関心もないし、狭苦しくて敵わぬけれど、けれどそれでも升席で酒を酌み交わしつつ、スモウレスラーたちの奮戦ぶりを観戦するひと時は得も言われぬ愉楽に満たされるのです。狭い席に身を縮こまらせていて、急に立ち上がった時の酒が急激に体内を巡り出すあの感じも堪らない快楽ではありますが、ここで一挙に酔いが回る気がするのは気のせいばかりではないはずです。  さて、この夜は、随分以前にお邪魔した「とん公」に伺う事にしました。初めて立ち寄ってからこれまで、何度も両国には来ているのだけれど、不思議とこの酒場の存在を思い出すことがありませんでした。余り活気もきらびやかさもない総武線の高架の南側を歩いているうちに唐突に思い浮かび行ってみることにしたのでした。同行した一人がでかした、これはいいと喝采を上げたけれど、狭い店だからもとより空いているか知れたものではないのです。でもしかし、幸いにも空いていたんですけどね。以前はほぼ満席で升席のように身を縮こまらせて呑んだ覚えがあるけれど、この夜は空席が目立ちます。よもやこの酒場で小上りの卓席で呑む機会が訪れようとは当時は考えもしませんでした。さて、この両国では貴重なもつ焼の個人営業酒場は、その落ち着いたムード以外には特段秀でた点はないのでありまして、でも良いムードという一点がありさえすればそれで構わぬのです。普通に美味しいもつ焼をどこにでもあるホッピーで流し込む。実のところ肴すら本音を言えばお新香でもあれば十分なのです。なぜなら既に結構な量を呑んでいるのだし、肴は例の国技館サービス特製の焼鳥やら焼売を腹に入れているのだから。われわれが望むことと言えばただただゆっくりと手足を伸ばして、酒をチビリとやれる落ち着いた環境だけなのでした。そして、同行したメンバーで時間を忘れて語り合う事がてきる店をようやく見出だせました。しかし、その夜の話題に相撲が上ることは全くなかったのです。

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る