夜が待ち遠しい

2020/01/05(日)08:30

東上野の喫茶巡り 取りこぼし分

台東区(145)

 東上野には、都内としては案外たくさんの喫茶店がありますが、メジャーな喫茶店を今さらおさらいしてみても芸がないということで、少し毛色の異なる喫茶でも巡ってみようと思ったわけであります。というか、先だってもタバコ屋さん併設、いや喫茶店をタバコが侵食したような喫茶店を報告したばかりですが、どうもこの界隈の喫茶店は客層を特化していて営業日や営業時間が限定していることが多いようで、なかなかすんなりと喫茶巡りできずにいるのでした。ならばどこか休みを見つけて行ってくればいいじゃないかといわれると、そんな時間があるならばあまり上野には出掛けたいと思えぬのでありました。その気になれば毎晩だって行けてしまうような利便な町にわざわざ休みを費やしたくないのであります。だからいつまで経っても行けぬ喫茶が少なくないのです。でもそういうお店は独特のムードはあるけれど、必ずしも純喫茶系の好事家を喜ばせはしないのであります。  まずは、「コーヒー&スナック LE GOULUE(ラ・グール)」であります。看板のキャラクターが印象的ではありますが、新しめのお店に見えるのでこれまで見て見ぬふりで通過してきたのですが、そろそろ入ってみてもよかろうとお邪魔しました。至って普通のお店でちょうどお客さんが切れたのか人柄のよさそうなご主人と二人きり。こういう状況はうれしいような面倒なような、複雑な気持ちです。でも、きっとこの辺で勤務されている方にとってはとても居心地のいいお店なのだろうなあ。 「喫茶 ひまわり」は、これはもう何と評するべきか、迂闊な物言いをすると酷い誤解をもたらしそうで、うっかりした事は言えぬのです。だから初めに断っておくとぼくこのお店の事、結構好きなのです。ちっとも飾り気がないし、居酒屋でも食堂でも、さらにはスナックとも一線を画する独特なお店です。見るべき何物かがある訳でもないから普段ぼくが喫茶と付き合う際のような眼福とは一切縁がないし、酒場に向き合う際の多様な観点からの観察にも全く相容れぬのです。スナックのような気怠い人間関係など気に掛ける余地すらないし、ここは一体飲食店として得られる体験のいずれとも異なった単なる人に邪魔されぬだけの場所として成立しているように思えるのです。誰にも邪魔されず、店のムードやらそうした贅沢とは別種の特別な場所に思えたのです。そこでぼくは独りのオッサンとして少しも哀愁を孕まぬ孤独に包まれるのでした。  だから「カレー専門店 クラウンエース 上野店」に来た訳ではありません。そもそもここの業態に喫茶を重ね合わせるのは無理がある。その一方で外観などは喫茶そのものだったりして、ぼくも喫茶巡りを初めて間もない頃にここに来て喫茶だと思いこんで店に入りそうになった記憶があります。というか、見通しの良い店内だからすぐにカレースタンドであることには気付いたのだろうけれど、紛らわしい看板などもあり、二階は喫茶になっているのではという風に思ったりもしながらそれを自ら確かめるまでに至らなかったのです。ここはいつだってそこそこの客で賑わっているのだから悪い店ではないと思っていたし、新橋の店舗も含めぼくに変な拘りがなければとっくにお邪魔していたはずなのです。その拘りとは、喫茶もしくは酒場及びそれに準じるお店以外は己の埒外と決めて掛かっていた事です。今ではそれが余りにも偏狭な考えだと思っているのでありまして、面白そうな店舗には極力入ってみる事にしたけれど、残念な事にかつてのようなキャパシティは望めないのでした。  と、年の初めにいきなり半端な報告をしてしまいましたが、身体的衰えやら諸々の事情から以前のようには奔放な行動が難しくなりつつあります。暮れまではこの日曜の喫茶レポートというルーティンを放棄する事も考えないではなかったのですが、細ぼそとは喫茶報告も継続するつもりですので―時にはお休みさせて頂くこともあるかもしれませんが―、変わりなくお付き合い下さい。

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