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カテゴリ:北区
王子神谷というか、北区の豊島というのが正しいのだろうけれど、とにかく鉄道路線のとこからも外れた場所にある商店街というのは気になるものです。足立区や川崎なんかはそういう町があちこちあると思うけれど、便の悪い場所には便を良くしようという志しというか打算のあるお店が群れをなす事があるものです。そんな人間臭みが濃厚な町が大好きです。北区も結構、便の悪そうな地域があるからきっとそんな町があるとは思っていました。というか実は随分前からこの商店街の存在は知っていたし、その何軒かでは呑んでもいるはずです。だから先日ここでも既に報告したように通りに面した酒場を見知ってはいたのです。だけれど、あえて夜に訪れてまで来るまでの事は果たしてあるかと冷静に判断してみると、そこまでの事はないという結論に常に至るのでした。でもここで先日、喫茶と食堂兼酒場で何時間かを過ごしてからのんびりと町を見直してみると、単に通りを品定めをするように通り過ぎるのでは見逃してしまう発見もあるというものです。
そうして、見つけたのが「中国料理 生駒軒」です。もうずっとこの町の方に利用されてきたのであろうから、発見というのは気恥ずかしい大仰な物言いでありますが、発見なんてものは所詮大部分が思い込みから成り立っているのだからそれはそれで良しとしておこう。さて、さて、かなり大きく立派な構えでありますが、経年による劣化にはもはや歯止めをかけるのは困難に思えるそういった印象を受けました。こういうのにいたく反応するものだから人はぼくを感傷的と評するのでしょう。口の悪い知人は悪趣味とまで吐かしてくるのですが、愛情というものは己の意志でどうにかなるものでもなかろうに。おお、店内は一般的な中華飯店それとは全く趣を異にしています。どちらかといえば洋食屋とか喫茶の内装に近しいと思えます。お花茶屋だったか堀切菖蒲園だったかでやはり似たような蕎麦店もあったし、地方の田舎町でもこうした趣向のお店に遭遇する事がありますが、擬洋風な内装のお店は昭和どころか全く知らぬ大正時代の風趣にすら思えてくるのです。店の奥の円卓は後付ではなかろうかと推測されます。時代錯誤な感覚に陥りそうになるけれど、価格帯の強気さは現代のそれでありまして、この界隈の相場だとしたらちょっとぼくにはキビシイなあ。しかし、味がちょっと塩辛いとかそうした事はこの店の雰囲気を味わえるならば大した問題ではないのであります。夜に訪れていたら現世に戻る気力は喪失するかもしれぬ劇薬的な作用を精神にもたらすかもしれぬので、できる事なら昼下がりに伺うのがよろしいかと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/01/09 08:30:06 AM
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