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カテゴリ:豊島区
若い頃は、呑むとなると大概の場合に池袋を希望しました。それは当時のぼくが池袋の西口に住んでいて、だからわざわざ呑むために電車に揺られるなんて全くの無駄足と思っていた事が大きい理由です。誰かと呑むとなっても都内でも有数の繁華街であるこの地であるならそう異論を告げられる事もなく、ぼくはいつしか己が独善と怠惰を拡大する結果となったのであります。当時の自分に今の自分のマメさを見せ付けたい気持ちにもなりますが、実際のところは根っこの自分勝手で横着な性格は少しも変わってはいないのでした。ともあれ、かつて散々っぱら呑み歩いたこともあって、すっかり池袋には飽きてしまって、滅多に近寄ることもなくなったのです。むしろかつてと逆転して人から池袋で呑むことを求められる様になったのです。この夜もとある呑みの流れで互いに都合が良いまいうだけの理由で池袋に降り立った訳です。
ということで、池袋駅に到着したのですが、ここで大きな選択を迫られることになります。駅の東口に出るか、それとも西口に向かうか。駅構内で済ませるという考えは毛頭ないのです。それもまあ思ってもみなかったような新しいスタイルで驚愕させてくれるとすれば、前言などたわいもなく撤回することになるでしょうが、取り敢えずそれは杞憂にもならぬのであります。個人的には帰りのことを考えると東口が便利なのですが、いかんせん駅からそこそこの呑み屋街までは距離があります。西口の方が駅近のかつてのヤミ市辺りに酒場が密集しているから店選びで悩むことも少なかろうと瞬時に判断し、東武百貨店を抜けて夜の池袋に出たのでした。 そうそう、そういや浦和に本拠地を構える「酒蔵 力」の池袋西口店があったなあ。ここの存在は大分前に認知していたけれど、見るたびに思い出しはするものの来ようとは思わずにこれまできました。本店を訪れて大体どんなもんか知っていたからあえて池袋店に訪れるまでもないと考えたのであります。しかし店に入ってみると浦和とはちょっぴり雰囲気が違っています。浦和のような活気は感じられず、どんよりとして疲労感とか倦怠感のような空気が漂います。それなりに遅い時間だったこともあるでしょうが、それより質の悪い酔客が隣席だったことと、また2階出入口付近で落ち着きのなかったのも印象を悪くする理由となったのです。1階はともかくとして2階には空席も目立つからもう少し居心地のいい席もあっただろうに。若い従業員だったからそんな気配りができないのか、それとも単なる嫌がらせだったのだろうか。まあ運が悪かったかもしれぬけれど、店の良し悪しの判断などというのは大概の場合においてそうした人によっては些細と思えるようなことがきっかけとなってくるのだろうと思うのです。ある店のことが好きとか嫌いとかを語ることを傲慢と感じられる方もいるようですが、ぼくは案外そういう直感に近い感情を信頼するほうです。むろん、自分に近しい善し悪しの判断を備えた人の直感を信頼しているということでありまして、だからといっていざとなればその人が嫌いと判ずる酒場にだって出向くのであります。やはり他人の意見より自分の体験こそがすべてです。でもこちらのお店、駅から至近で便利なのは間違いないから、次は感じのいい席になると感想はまったく違ったものになるような予感もあるのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/02/06 08:30:06 AM
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