夜が待ち遠しい

2020/02/12(水)08:30

小竹向原のオオバコ蕎麦屋

板橋区(114)

平日の昼下がりに時間ができたから小竹向原に行くことにしました。有楽町線の小竹向原駅にお住まいの方だと好んでせっかくのフリーな時間に好き好んで来るようなところじゃないだろうにとお思いでありましょう。いや、実際、確かにこの界隈はほぼ店舗や企業もない住宅街なのでありまして、向原第二団地やコーシャハイム向原などのURの団地やその商店街など多少は見所があるけれど、まあ、住宅建築趣味をお持ちでない方には退屈な町であると思えます。ぼくは住宅建築は嫌いじゃないけれど、こうした物件は外観はさほど見所はなくて内観にこそ注目すべき点があるようだ。だからぼくにはこの町はさほど面白くは思えぬのであるけれど、人が生活を送っているからやはり探せばそれなりに飲食店だってあるわけです。単にこの界隈は店が密集せずに点在しているからつかみどころがないだけなのです。  目指したのは、「中華 ふじ」でありました。以前見掛けて以来、気になっていたので、そんな喉に刺さった小骨を取り除くくらいの気持ちで再訪したわけなのです。ちょっと迷ったりしながら店に近寄っていくと遠目にはやってそうに思えるのですが、そうそううまくいかず準備中の札が下がっていたのでした。はてさて困ったことになった。ここがやっていることだけを想定して来たものだからこの先の目当てが何もないのです。しかも多くの店が店を開け始めるであろう5時にはまだ少しばかり時間があります。仕方がないから盲滅法に歩くことにしたのでした。  しかしまあ先述したような土地柄だから運が悪いとちっとも店に行き当たらぬのであります。やがてもうすぐ小竹向原駅という地点に着いてようやく「長寿庵」なる蕎麦屋が営業しているのに遭遇できたのでした。郊外で見掛けるような大きな和風建築のお店で、お値段は少々張りそうですが入ってみることにしました。各テーブルは木製格子で間仕切りされていてかなり豪勢な造りのお店でありました。地方の街道沿いなんかにあったとしたら違和感なく受け止めたのでしょうが、都心にも程近いこの町に普通にあるのは少し奇異な印象があり、そのせいかここが有楽町線沿線の駅そばであることが不可解な気持ちにもなるのでした。瓶ビールに枝豆と冷奴と真冬というのに真夏のような注文となったのは端的に予算上の都合によるものです。冷奴は400円といつものぼくなら怯むような価格ですが、このでかさならまあいいのかななんて思いこみそうになるけれど、だったら半分のサイズで300円にして欲しいものだと冷静になった今は考えるのであります。引き続き訪れたご高齢の女性は野菜炒めに春巻きなどを注文しビールを呑んでいます。高齢女性の蕎麦屋での一人呑みにこそ驚くべきなのに、つい注文の颯爽としたところに感心してしまいました。まあ後ほどご主人と合流したのですが。さて、さすがに食事も頼まねばなるまいなということで、先の店に入りそびれたからだったかもしれぬけれど、中華そばを注文したのでした。賑やかなカマボコにチャーシュー、メンマ、たっぷりのネギが乗っていて、面はやらかくて汁はあっさりとどこまでも蕎麦屋の中華そばらしいのがなかなか良いのでした。勘定をしているといつの間にかご近所の隠居さんたちが数名思い思いの卓にてお過ごしになられていたのでした。これでお値段がもう少しだけ庶民的ならぼくでも彼らのように優雅な時間を過ごせるのになあと羨むばかりなのでした。  帰りがけに「コーヒー たばこ ながさき」なる店を見掛けましたが、ここはもう営業はしていないんでしょうね。

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