夜が待ち遠しい

2020/06/26(金)08:26

アニメーションの中の酒場 押井守篇 その2

まんが・小説・テレビなど(174)

 押井守という方が酒呑みかどうかは知るところではないけれど、酔っ払いを好んで描くところを思うときっと酒呑みの酒好きであるとは思うのです。でもそこで描かれる小市民の哀愁や寂寥感、愚かだけれど憎めない酩酊っぷり、理屈っぽくても可愛げがあるところなどがあまりにも克明なことにこの人を一緒に呑むのは避けた方がいいと思うのでした。どうしてって、きっと呑みながらもこの人は酔っているように振舞いつつも、その実、きっちりとわれわれ単なる酔っ払いを観察して作品に取り込もうと画策しているように思われるからです。でもまあ凡庸で退屈な呑み方をするぼくなんかでは、押井氏の観察対象とはなり得ぬだろうから、この心配は杞憂というものです。ということで、お楽しみ―なのかなあ、作品の一部のみピックアップして面白がるのは、映画作家にとっては失礼に当たるのかもしれないなあ―の押井守作品の飲酒シーンを一挙に放出します。あ、あとキャプチャー画像は、ちょっとレアなものだけとしました。といっても大概は動画配信サービスなんかで見ることができると思いますので、ぜひ実地に押井氏のお眼鏡に適った呑兵衛たちの姿を動画にてご覧ください。 [参照1] [参照2] [参照3] 『タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン』(1982)「第10話 つらいなあ! 休日出勤[キャプチャー参照1]」、「第14話 太平洋無着陸気球横断[キャプチャー参照2]」、(おまけ「第15話 にせリースで罠をはれ[キャプチャー参照3]」(押井は関与なし?))。このシリーズにはお決まりのお仕置きエンディングが用意されていますが、このイッパツマンでは、「人間やめて、何になる!?」として、国分寺の屋台「うえだや」を主な舞台に悪玉3人組が酩酊し、クダを巻くという描写があります。これが哀感があってなかなか良いのです。押井氏は絵コンテで関わっているようです。屋号とその主人の生々しさから、もしやと思いスタッフロールを眺めてみたら、担当ディレクターが植田秀仁とあります。これかと思ったら、Wikipediaにやはりその通りであるとの記載がありました。 『うる星やつら オンリー・ユー』(1983)では、立食いそば店にて瓶ビールを立呑みするシーンがあります。ガラス張りの喫茶店や牛丼屋も登場。 『機動警察パトレイバー テレビアニメシリーズ(ON TELEVISION)』(1989-90)「第9話 上陸赤いレイバー」では酒田の土産物店併設の食堂で呑むシーンが描かれユーモラスだし、「第14話 あんたの勝ち!」では課内の軋轢を呑み会で解消するため男女それぞれに分かれておでん屋台で呑むという酒呑み泣かせの愉快な内容となっています。『機動警察パトレイバー 新OVA版』(1990-92)「第8話 火の七日間」では「中華・定食 上海亭」で餃子と酢豚?で瓶ビールを呑むシーンが描かれます。 『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(2008)は、物語の要請上、一風異色な呑みの描写となります。ドライブンイン式のアメリカンダイナーや樽の中のような造作の高級レストランで呑むというものですが、ここでの呑みは終始沈鬱な印象でした。 [参照4] おまけ:『うる星やつら』「第7話 秋の空から金太郎!」(おでん屋台[キャプチャー参照4])、『機動警察パトレイバー 新OVA版』「第1話 グリフォン復活」(立呑みやきとり店)、「第9話 VS」(熱海の旅館にて催された宴会シーン)、「第14話 雪のロンド」(スナック風の呑み屋さん)、「特別編 THE DAY AFTER」(未見ですが、特車二課解散後の屋台での呑み会を描く音声ドラマのようです)  といったわけで、まだまだ取りこぼしの作品もありますが、今回はここまで。またいつか残りの作品に触れる機会があった際にはその3があるかもしれません。

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