夜が待ち遠しい

このブログを書いていて、時々自分の好みにいかにもしっくりとくる酒場に遭遇したりすると馬鹿の一つ覚えよように決まり切ったマンネリフレーズを多用してきました。それは、近所にこんな店があったら日参はともかく週一はお邪魔するのに、といったまあ我が発言ながら確かに分からぬではないけれど、しかし振り返って吟味してみるとどこか気持ちの入りの弱い言葉に思えるのです。その時は確かにそう感じたに違いないのだけれど、実際に引っ越したりする具体的な行動に結実しなかったというまさに結果としての現実がその発言の真意を裏切っているというのは大袈裟に過ぎるかもしれません。考え直してみるとこれまでにこうした発言を繰り返してきた酒場を実際の今の住居のある近所に配置するという想像をしてみる。それはそれで甘美な想像ではあるけれど、曜日替わりどころか日替わりで店を巡ることになるのもちょっとどうしたものかなあなどと思うのです。やはりここと決めた酒場に入り浸るのはせいぜい5軒程度に留めるのが程よいところのようです。











　そんな5軒にぜひとも加えてみたい酒場が本蓮沼駅とときわ台駅の中間地点にあったのでした。以前入りそびれた「大衆食堂 若名」がそれです。ここには是が非でも訪れたいと思っていたからとっとと足を運べば良かったはずですが、いかんせん場所が場所でありまして、いずれかの駅を最寄りとする原住民でもない限りはそう足繁く訪れるのは厄介な場所なのです。ここにはそう遠くない以前にマツコも絶賛したという絶品チャーハンを食わせる町中華を訪れた際に道に迷って遭遇したお店で、その場でネットで検索し、入りそびれた無念を記憶に刻み付けておいたのでした。見るからに常連のオヤジが2、3名も入っていればよさそうなうらびれた印象を抱いてしまうのですが、店に入ると驚くべきことにかなりの席がお客さんで埋まっていたのでした。それもけして店内は狭くないから少しく仰天してしまいました。しばらくは惚れ惚れしていたいところだけれと、これたけ人気があるとすればその後も続いてお客が来られる事もあるから余りに長居するのは不味いかもしれぬ。早速スパサラと煮物という何だか分からぬ品をお願いします。煮物は大好きだし、ここでは清酒にしようと決めていたから合わぬはずがないのです。清酒は期待を裏切らぬコップにての提供であります。清酒というのは不思議なもので格式高い料亭みたいな店では銚子に猪口、大衆的な蕎麦屋ではメーカー製のガラス徳利が旨い気がするけれど、こうした古い食堂や中華飯店ではコップ酒が良いような気がします。まあ、そんなのは気のせいかもしれぬし、他所の店では全然逆な事を呟きそうでもあります。〆にはカレーライスを頼みましたがこれがまた具沢山で盛りもすごいし、しかも安いから感涙モノでありませ。そして、この店で何より嬉しいのが家族連れが多いのもその理由であろうけれど、あとから来た家族連れなどに席を譲ってあげたりの優しい心配りが見られることです。自然とこの店ではそうしたくなるようなそんな気配がこの店にはあります。語るそばからお邪魔したくもなるけれど、果たして未だに引っ越しの算段はこれっぽっちもないのでありますが、だけれどこの界隈の人を嫉妬する気持ちに間違いはないのです。