夜が待ち遠しい

2020/09/19(土)08:30

上福岡の酒場巡り その1

埼玉県(173)

どうもまだまだ余談のならぬ状況という気分が拭えぬためか、嬉々とした表情を隠しもせずに呑み歩こうとは思えません。馴染みのある通いつめた店であればこれといった根拠がある訳ではないけれど、信頼感があるからかもしれないけれど多少なりとも気張ることなく訪れる事ができるようになった気もするけれど、初訪の店となればそれなりに気を配る必要もあって、いちいち手探りしながらお邪魔するという状況は継続しており、これが公開される数週間後も事態はそうは変わっていないように思います。そういう気分に陥るのはどうも新型コロナにのみ原因を求めるのは適当ではなくて、実に個人的な事情に基づく憂鬱さが主な理由だからしばらくはこの沈鬱な気分は拭えそうにありません。ならばどうしてそんな時に好んで上福岡まで足を向けようなんて思ったのか。答えはとてもしみったれたもので恐縮なのですが、東武の株主優待券を貰ったからなのですね。それも4枚も貰ってしまったから大いに役立てたいところですが、こんな気分だし余り遠出というのもどうかと思ったし、使用期限も6月中と目前だったから、都心から近からず遠からずのしかし非常に好感を持っている上福岡に白羽の矢が立ったのでした。以前なら仕事を終えてから平気で足を伸ばしたものだけれど、今はもうそこまでの気迫は残ってはいないのです。  時間のたっぷりとあるS氏を伴って上福岡駅に向かうのですが、とても近いとは言えぬ距離ではあるけれど、かと言って旅気分に浸るにはいかにも心許ない微妙な町であります。実際、今の職場でここから毎日通う奴もいたのだから旅情を感じようなどとは都合がよすぎるかもしれません。でも上福岡にはそれがあるのだとあえて言い切ってみたい。都心から至近の人気観光スポットである川越のすぐお隣というのは実のところ何の関係もなさそうです。それよりはかつての上福岡市(現在、上福岡駅周辺は川越市とふじみ野市となっている)には2つの団地ができたことによって、高度成長期の一時は日本一の人口密度だったそうな。どうもこちらが上福岡といういろいろと誤解や憶測をもたらしそうな町名を持つ土地が繁華なものとなった理由に思われるのです。  さて、昼下がりに上福岡入りして最初に向かったのは中華飯店でした。以下が現在の様子になります。  なんてこった、閉業なさっていたとは。どうもこの荒れた様子を見るとここ数か月で閉業したわけではなさそうです。「丸鶴」というお店なのですが、ここをネットで見つけたのは、久し振りに上福岡を訪れたわずか2週間ほど前のことだったと思います。  どうですか。中華飯店としての魅力もムンムン漂っていますが―漂い過ぎて画面の端が靄っている程です―、何より200円ラーメンてのが気になりませんか、と書いているだけでも出遅れてしまった己をぺんぺんしたい程です。  悔やんでみても仕方がないのですが、それにしてもこの町は酒場も多いのですが、中華飯店もあちこちで目にしました。「新富飯店」は改めて見ると普通の外観ですが、この後にもっと味のある店もありましたがいちいち面倒で写真に収めるのを放棄したほどです。でもそろそろ一軒位は寄ってみたいところです。ぼくは「博龍」がとても気に入ったのですが、S氏は、そこと目と鼻の位置にある「黄河菜館」がお気に召したようです。この時点で上福岡には遠からず再々訪するであろうと決めていたから今回は選択権を譲渡することにしました。それにしても上福岡で嬉しいのは昼下がりの2時過ぎでも大概の中華飯店がやっていることです。通し営業のお店というのはあるにはあるけれど、ここまで当たり前にやっててくれるのは珍しいのではないか。というわけでいそいそと店内に入ります。内装は過不足なくいかにもなもので、久し振りの中華なムードに誰に見せるともなくうなずくのでありました。品書きをじっくり眺めたいところですが、まずは瓶ビールと餃子を注文します。食に徹するかそれともこの後のことを考えて控えめにしておくか迷った結果、後者を選択しました。その位、この町には魅力があったのです。方針が決まると注文も必然的にまとまりやすくて、種類の豊富な焼そばから上海焼そばを頼むことにしました。ビールのお通しが貧弱だったのでちょっと不安になりましたが、餃子はキャベツと肉がみっちりと練り込まれたもので、実はぼくは野菜多めの餃子は粗目に刻んだのが好きですが、ここのはみじん切りの域を超えた無茶苦茶細かに刻まれていてとても旨かったのです。上海焼そばは見た目以上に具材が豊富で酒なしで単品で食べたとしたら具の割合が多過ぎてバランスが悪いと感じるんじゃないかと思うほどで、でも酒と合わせるならもうこれ以上のものはないのです。さて、そろそろ3時も迫っているので、腰を上げて次なるお店に向かうことにします。

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