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カテゴリ:まんが・小説・テレビなど
いよいよというべきか、それとも大御所ならまだまだいくらだっているだろうにという意見もありましょうが、いざ久し振りに学生時代に好んで読んだ大友克洋氏の作品を振り返って読み返してみると、当時は驚くばかりに斬新に思えた氏の作品がその影響力もあってか人口に膾炙し、多くの模倣者を生んだこともあってか、今や氏の表現が格別に新しいとは思えなくなっていたのです。誤解をしていただきたくないのは斬新さが失われたからといった、氏の執筆した必ずしも多くはない作品群の価値が失墜したということでは決してないということです。実のところ当時は目先の斬新さばかりに目がいっていたのですが、当時は見過ごしていた細部に面白さを見出せて大いに満足しているのです。そんなことぼくが断らなくたって、例えば代表作のひとつである『AKIRA』が100度目の重版となったニュースを見るだけで明らかです。さて、大友氏をめぐっての話題は尽きぬのでありますが、まずは恒例、大友氏そしてその作品とぼくの関りについてから語り始めたいと思います。
『AKIRA(アキラ) 第1/2/4巻』(講談社) 『Boogie Woogie Waltz』(綺譚社, 1982)(「目覚めよと叫ぶ声あり」、「心中―'74秋―」、「ROCK」) 『GOOD WEATHER』(綺譚社, 1981)(「愛の街角2丁目3番地」 『ハイウェイスター/大友克洋傑作集1』(双葉社, 1979)(「つやのあとさき」、「さよならのおみやげ」) 『SOS! 大東京探検隊/大友克洋短編集②』(講談社, 1996)(「SPEED」、「サン・バーグズヒルの想い出」) はじめて手にしたのは、『童夢』だったか、それとも『気分はもう戦争』だったでしょうか。デビューは1971年とのことですから、すでに10年のキャリアを積んでおられたからこそのすごく完成された作品と興奮したのでした。当時はぼんやりとすごい緻密に描き込まれているなあ―一方で、真白なスペースも大胆に配置されているなあ―と驚かされるばかりでしたが、その後の『AKIRA』もそうですが、絵のすごさに比して物語が淡泊だなあという印象を抱きました。その印象は今でも大きな変化はないのですが、物語より絵の方にずっと興味を持っていたぼくは、その後、映画にハマり今ではすっかり興味を失ったアメリカンニューシネマの洗礼を浴びつつ、同時に大友氏の初期作品へと遡及する過程で、その類縁性に気付き嬉々としたものです―当時、旅先の沼津の古書店で『Boogie Woogie Waltz』を入手したものの後日散逸させたのは返す返すも無念―。でもその頃のぼくはまだまだ少しも大友氏のユニークさを分かっていなかったのであります。続きは次回。
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Last updated
2021/01/02 08:30:06 AM
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