夜が待ち遠しい

2022/06/24(金)08:30

上板橋の仕出し弁当屋で呑む

上板橋はとても好きな町です。なのに近頃すっかりご無沙汰してしまいました。そんなに好きならいっそ住んじゃえばいいじゃないという意見もごもっともであります。でもずっとひとつのものを好きでい続けるのは非常に難しいものです。好きなものとの距離が近くなり過ぎると悪い面が目立ってくるということもあると思うけれど、それ以上に好きなものにはそれなりの手間を掛けて接近しているうちの方が有難味が出るもののようです。例えば絶版になった古書をやっとのことで入手してみたところで、手に入れた時点ですでに目的の大部分は達せられているのでしょう。町だって似たようなもので、仮に自由に住む場所が決められる状況、環境にあったとしても実際にそこに住んでしまった時点で慣れ親しんだわが町と成り果てるのです。わが町っていうのは家族みたいなもので煩わしさやしがらみがもれなく付いてくるものだと思うのです。ならば電車を乗り継ぎなく行けるとかそうした土地に住むのがいい距離感だとぼくは思っています。幸いにも今のぼくは多方面に乗り換えなしに行ける場所にいるからそういった意味ではそれなりに満足すべきところなんでしょうか。  どうして上板橋が好きなのか、例えば「大松」のような仕出し弁当店で昼間っから呑めるんだから好きにならずにはおられぬのです。駅から十分ほどトコトコと歩いて行くと、やがて板橋区から練馬区へと切り替わります。そんな地元の方に寄り添ったお店なのですが、寄り添い過ぎていてこの日は草野球チーム(?)らしき面々が平日の昼下がりというのにべろんべろんになるまで呑んでいます。卓上には数々の料理が並んでいてどれもこれも旨そう。厨房の奥にいた初老の女性に食事はもうないのよと惨い一言を告げられます。いや、食事じゃなくて呑みたいのだと抗ってみせると、そうなのね、呑むのは大丈夫と思いがけないお答えです。こうしたお店だと大概は中休みとなってだらだら居座られるのを嫌うものと思っていたので、ちょっとびっくり。とりあえずのビールを頼むと枝豆を用意してくれました。でもこれだけじゃちょっと寂しいので何でもいいかできるものないか尋ねたところ焼肉だったらできるわよと立派な一皿を用意してくれました。濃い目の味付けだから酒も進みます。でも、でもね向こうの島ではもう食べるのは十分だってムードも面々の前に大量の旨そうな総菜が並んでいるからまあ悔しい。もう少しまったりと過ごすつもりだったけれど日が悪かったみたいですね。こんな日もあります。と程々で勘定して席を立ったら、配膳口の陳列棚にかき揚げが数枚あるじゃないの。なんだかなあ、これ出してくれたらもう1、2杯は呑めたのにねえ。

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