2023/01/30(月)08:30
駒込の駅側の人気のやきとん屋さん
死者数が過去最高を記録したとのことで統計上はまだまだ終息を見せぬ例の感染症でありますが、世間一般の動向を眺めているとそれが遥か過去のことのように思えてしまいます。ぼくは今でもこれが未曽有の出来事であるという認識でいるから人々の通常(と思っていた)の生活にも多大なる変化が生じるだろうと秘かに予測しており、世界に大きな犠牲を及ぼしたとはいえこれが生活一般に多大な良い意味での変化をもたらすものと少し期待もしていたのです。しかし、どうやらぼくの認識が誤りだったようで、世間の様子はさしてラジカルな変革を被ることもなくかつての退屈な日常が取り戻されつつあるように感じています。変化が生じるのはもしかすろともう少し先の将来のことかもしれませんが、変化に愚鈍なぼくには感知し得ないかもしれません。飲食店ひとつ取ってみてももっと劇的な変化が起こり得たはずだと思っていますが、今のところそうでもないように見受けられます。先般、北千住で思ったように客たちは決まった酒場なりで過ごすことに安心安全を見出したようでありまして、でもそれは初めての酒場を訪れた時に感じる高揚感以上に決まった酒場で変わらず過ごすことに幸福を感じるようになったというぼく自身の変化が招いた錯覚なのかもしれません。などとしみったれた話はともかくとして、この夜訪れたのはそんな日本の多くの人たちが将来に対する漠たる不安に沈んでいた頃に開店した(と記憶するのだが実際はどうだったのだろう)駒込のやきとん酒場にお邪魔したのでありました。ここは国が自粛を強いていた時期にも意志を押し通して暗く沈んだムードの駒込の灯となっていたお店で、その頃お邪魔したいと思いつつもかなりの繁盛ぶりに気持ちが萎えて後回しになっていた一軒なのです。
後回しにした理由は他にもあります。というのは、そのやきとん酒場には以前、間接的にお邪魔したことがあったからです。こう書くとそこのことが気に入らなかったという誤解を持たせかねませんが、事実はその逆で結構気に入ったのです。って何か無茶苦茶なことを言ってるようですが、なんてことはない、系列店っていうか創業店にお邪魔したことがあるのでした。その公式らしきHPは以下になります。
やきとん まるば
https://yakiton-maruba.com/concept/higashijujo/
ざっと眺めただけなので見落としがあるかもしれませんが、ここには自分とこ(東十条)のことはしつこいくらいに記載がある(文頭にほぼ必ず「東十条にある口コミで人気の居酒屋やきとん まるば」とあるなど、前頁を通じて独特の言語感覚の持ち主が書かれているらしくつい読み耽ってしまうのです)けれど、駒込店の文字はついぞ確認できないのです。どうしてなんだろうなあ、なんて疑問が湧いてきはするのだけれど、調べてみるまでの興味はなかったりするのです。今更ではありますが、「やきとん まるば 駒込店」にお邪魔したのでありますが、さて、この夜もそれなりの繁盛ぶりでした。でも自粛中の賑わいにはかなり劣っているように思われます。自粛中に営業していた酒場ってそんなには多くないと思われますが、明けて以降すっかり客足が遠のいたお店も何軒か知っているけれど、単純に飽きたってことではなさそうに思えます。そういう意味ではコチラは善戦していると評せましょうか。さて、カウンター席も卓席も空席はありつつも満遍なく埋まっているから通されたのは変則的な壁向きのはみ出しコーナーのような席です。まあ、そこまで長居するつもりもないのでこちらで一向に構いません。不思議と店の方と客たちに一体感があるのは、特殊な時期を共有したという思いが籠っているからなのでしょうか。忘れぬうちに書いておくとこちらの肴はなかなかのハイレベルでいずれも美味しく頂けます。酒は幾分薄い気もするけれど値段を思えば妥当といったところでしょうか。吞みよりも食いを重視する人に向いているように思われます。この夜の同伴者は普段はあまり食べずに呑むタイプなのですが、大いに食いに走っていました。ぼくのように呑みに重きを置く者には、まずここでガッツリ吞み食いしてハシゴするのが正しい使い方に思えます。でもこちらの和気あいあいとしたムードに溶け込むには何度か通う必要がありそうで、その輪に馴染むのは容易ではなさそうです。