広島の駅前酒場を飲み歩き その1
5,6年ぶりになる広島に行く機会が巡ってきました。と言っても仕事の出張なので自由になる時間はごくごくわずか。しかもこの日は日曜日なので訪れることのできる店は限られてきます。本当なら八丁堀,紙屋町などの繁華街を散策してみたかったのですが,今回はホテルから近い駅前を中心に飲み歩くことにしました。 まずはホテルにチェックインします。広島駅南口から北西方向に向かって3分ほどにあるホテル ニューヒロデンがこの日の宿泊先です。容易に推測できる通り,路面電車やバス路線をもつ広島電鉄グループが経営するホテルですね。部屋に入って最初にしたこと,それは窓外に広がるバラック風建築群を眺めることです。駅からも至近で近代的なホテルや進学塾が立ち並ぶ一角にこれほどまでの規模のバラックが立ち並んでいるなんてぜんぜん知りませんでした。己の迂闊さに呆れるばかりですが,そんなこともすぐに忘れてただただこの光景に見入ってしまいました。ちなみにこの飲食街は大須賀特飲街であると思われますが,それらしい標示は見られませんでした。 慌しく旅装を解いて早速町に繰り出すことにします。まずは大須賀特飲街をじっくり歩くことにします。上から眺めるのも愉しいですが,実際歩かないと個々の店の造りなどをつぶさに観察することはできません。スタンド(STAND)と標示されたお店がたくさんあります。これはスナックとバーの中間みたいなお店なのでしょうか。日曜日のせいか人通りはまったくなく,やってるお店もあまりなさそうです。麻雀喫茶みたいなのが営業しているようですが,入りづらいというよりは内装が外からも見えるので,さほど気を惹かれませんでした。夜になったら改めて歩いてみないと。 駅前を通過してしばらく進むと愛友市場のアーチが目に飛び込んできました。ここもまるで知らなかった場所です。原爆投下後の広島駅前にできた闇市が起源とのことです。数年後にはこれらの闇市が整理され,この愛友市場(もともとは荒神市場と呼ばれ,1988年に改名)や1990年頃に閉店した廣島百貨店に吸収されたそうです。こちらはすでに営業しているお店があるようなので入ってみることにしました。 「まるびや」という串カツ屋さんです。1階はカウンターだけですでに7割ほどの入り。お客さんの並ぶ狭い背後の空間をなんとか通り抜け一番奥まった席になんとか腰掛けることができました。後からやって来たお客さんは2階に案内されています。張り紙によると4名から12名まで利用できるようなので座敷になっているんだと思います。値段は大衆的な店の雰囲気とはややギャップがあって,こうした酒場としては幾分高目かも。みじん切りにしたタコなんかをマヨネーズで合えたアテがおいしかったな。串カツもパン粉こそ荒めでちょっと残念ですが,やはりサクサクのアツアツでおいしかったです。 愛友市場をぐるりと見物して,太田川水系の猿猴川に向かっていると「大衆食堂 源蔵 本店」というのがあります。ほろ酔い加減のオヤジさんたちが店先でワイワイと盛り上がっています。思わず店に吸い寄せられて入ってみるとやはり食堂っぽい雰囲気でテーブル席がずらりと並んでいます。思ったよりも広いお店でまだ早い時間なのにすでに出来上がった感じの客もたくさんいます。値段はそこそこですが,うまそうな品書きが短冊でずらりと吊るされています。高齢者のグループや家族連れなどにまじってぼくと同じひとり客もちらほら見受けられます。いろんなシチュエーションで利用できる愉しいお店でした。もちろん肴はどれもなかなかのものです。品書:ビール大:570,酒:320,焼酎:320,酎ハイ:340,盛合刺身:680,小イワシ天ぷら:530,ナマコ:580,メバル煮付:680,湯豆腐:210