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夜が待ち遠しい

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まんが・小説・テレビなど

2020/07/05
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 少年時代には、ぼくもちばてつやに大いにのめり込んでいました。それはことごとくが少年マンガと一般には呼ばれるジャンルというかテリトリーの作品だったのでありまして、少女マンガカテゴリーの含まれるであろうちばの作品群に巡り合ったのは随分後のことでした。結局それが子供の頃に愛読して以来のちばとの再会となった訳でありますが、出逢った場所というのがマンガ作品とそうぐうするには少なからずの違和感を覚える図書館だったのです。それもまたひと昔前の事になるのでハッキリと明言するのに躊躇がありますが、『ユカをよぶ海』、『1・2・3と4・5・ロク』、『ユキの太陽』、『島っ子』、『アリンコの歌』といった作品群だったと思うのです。そして一読するにつけ図書館に置かれることの公共性の高さに得心するとともに、それまで思い込んでいたちば作品の持ち味であるアンモラルな主人公とは正対するような道徳的な振舞いの登場人物に物足りなさを感じると同時にその精密な風景描写にすっかり参ったのです。物語や登場人物の魅力に勝るだけの風景への並々ならぬ執着に打たれたのです。
 
 さて、ご多分に漏れず最初にほくがちば作品に触れたのが『あしたのジョー』(講談社, 1992)でありました。それもテレビアニメーション版の第2シリーズを途中から見始めて、そのダイナミックな演出ーこの演出が出崎統というアニメーターによるものと知るのはちばと再会する頃とほぼ同時期だったと思いますーによって綴られる心揺さぶられずにおられぬドラマとキャラクターのカッコよさにすっかり痺れたぼくは早速マンガを入手したものです。そして、特に序盤の絵柄の少年マンガっぽい可愛さに食い足りぬ思いをしたのでありますが、改めて読み返すとこれはまたちばのマンガ作家としての成長の軌跡としても読みがいのあるものに思えたのです。さて、この日本のマンガ作品でも多くの信奉者を持ち、不朽の名作などと呼ばれたりもするこの作品を賛美していては埒が明かぬので、早速この物語と酒との関わりを見ていきたい。













 警察の取り調べで「矢吹丈、15歳っと」と語られているから、物語が幕を上げたのが15歳頃で、真っ白に燃え尽きるのは20歳ちょっと位ということになりそうです。大衆食堂やおでん屋などの俯瞰シーン、モブキャラたちの呑み語りなどちば作品に一貫して見られる手法がここでも一貫して採用されるのでありますが、ジョーが酒を呑むのは再読、いや再々読、いやもっと多かったかもしれないが、たった1回もしくは2回だけなのであります。それはまず間違いなく前者であることを確認していますが、その疑惑のシーンでジョーの呑んでいる飲料がなんだか皆目見当が付かぬけれど、間違いなく前者と信じるのでした。
 
 いちいち注釈を付すだけの根気がないから、全巻に散見される酒場や屋台、食堂などのコマを列記しますが、特筆すべきはやはり物語の中盤、第9巻の非常にこのマンガにとって稀有な描写を挙げるべきでしょう。おでん屋台でジョーが力石を邂逅してコップ酒を呷るという書いてしまえばそれまでのシーンですが、禁欲的である事をその生き様として受け入れる事がボクサーとしての使命だとすれば、ここでのジョーはその禁忌を自ら破ってまでも酒に頼らざるを得ない、そんな不穏さのうちに物語は否も応もなく悲劇的な展開へと突き進むことになるのです。
 
 もう一つ、物語がクライマックスを迎えようとする場面を取り上げます。物語の底流をそよぐように流れていた、虚しい結果となることが初めから予告されていたジョーの果たされることのない愛の物語はここて明確なものとなり、しかし当然のように破局を迎えるのでした。「BALLON」で白木葉子と呑んでいたのは酒だったのだろうか。そんな筈はないことをぼくは知っているけれど、それが酒なら二人の関係も少しは報われたかもしれぬと思うと切ない気持ちになります。






Last updated  2020/07/05 08:30:06 AM
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2020/06/28
 ちばてつやのマンガに出てくる酒場や喫茶店について、リサーチしてみる気になったのは、ぼくの記憶にちばてつやの描くペーソスが溢れ、悲喜こもごもが滲んだコマの朧げなイメージが浮かんでは消えを繰り返したから、これはもう手持ちの資料を猟食しないわけには参らぬだろうと重い腰を上げることにしたのでした。ところでぼくの記憶に間違いがないとすれば初めて手にしたちばてつやマンガは、『ちかいの魔球』でありました。『巨人の星』の元ネタにもなった野球マンガの名作の一本で、ぼくも少年時代にはご多分に漏れず多くの野球マンガを読んできたけれど、正直読みすぎてしまったせいか、今でももう見るのもいやという風になってしまったのでした。最近でも女性を主人公にしたのとか、女性マンガ家の手による本格的な野球マンガなどあることも知っていて、実際に手に取ったこともあるけれど頁を繰る手に勢いが付くことはなく、いつでもすぐに投げやってしまうまでになってしまったのでした。このちばの名作は今読み返すと物語には古臭い印象が拭えぬとは思うけれど、見かけはいかにも少年マンガの典型と思わせるような大らかさと見やすい描線に思わせつつも実は相当に繊細で大胆な実験も見られぬのではないかと思っています。『少年ジャイアンツ』や『ハリスの旋風』などもいつか再び手に取る機会があるのだろうか。















 さて、中学生でゴルファーとしてプロデビューする向太陽が大活躍する『あした天気になあれ』(秋田書店, 1981-1991)は、物語の大団円となる全英オープン優勝時にもまだ成人を迎えていないようだから、基本的に呑みのシーンも少なくなるというものです。出てくるのはもっぱら実家の「定食喫茶 あづまや」でありまして、ここの常連さんたちがたまに呑んでるように思えるけれど、大概は大人しく定食やラーメンなんかを召し上がっているようです。酒呑みには少し肩身が狭い印象がありますが、でも情感を隠すこともなく事あるごとに、いや何でもない日常を描くための場所として、ちばてつやが愛情を惜しまず描いているのが、手に取るように感じられるのです。とまあ呑兵衛には、事欠くドラマですが例外的に呑みまくるのが東洋マッチプレーで同行したキャディの岡村じいさんでありまして、クラブハウスのレストランでワインをガブガブ呑み、ホテルの冷蔵庫のビールは呑み尽くしたり、敵から送られた毒入りの塩のようなビールを口に含んでようやくにしてその危うさを気付いたりもするのでした。でも知る限りにおいてたった一度だけ例外的なシーンがあります。それは見開きの打ち抜きという大変に贅沢なコマ割りー割ってないけれどーで表現された太陽が酒を口にする場面なのです。普段はビフテキをがっつくだけの太陽ですが、貴重な勝利を辛うじてもぎ取った太陽と岡村のじいさんの乾杯です。これは手抜きと謗られようとこうすべき場面であったと思うのです。そして、最後の大舞台、全英オープンではパブなどが登場し、英国人らがいつだって呑んでる姿が見られますが、ここでは相棒が同年代ということもあり、快挙を成し遂げても乾杯には至らぬのでした。






Last updated  2020/06/28 08:30:05 AM
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2020/06/21
 酒を呑む行為というのが、飯を食う程には日常的なものではないにせよ、それに準ずる程度には特別ではないから、それを準日常的とでも称することはさして異議を唱えられる類の主張ではなかろうと思います。ただまあ、食が万人にとって生きていく上で欠かせぬ行為であるのに対して、呑みが呑兵衛にとっては切実な行為でこそあれ、命を繋ぐに必至であると強硬に言い張るつもりはありませんし、むしろ用法容量を謝ると命を奪う振舞いともなり兼ねぬからまあ、ここでは呑む事がそこそこ日常的な事と述べるに留めます。だから、マンガに限らず大部分の物語を描写する事を主な目的とした表現で主に人を対象ー人ならざる人外とか幽霊なんかを描いていたとして大体においては人の思考や行動を範としているようですーとすれば、酒を呑むシーンが頻出するのは無理もない事なのです。無論、特にマンガに顕著でありますが、マンガというメディアが主な購読層を子供に据えているため、必然的に自主規制が作用してしまいがちで、その表現は一定の制限が掛かるものですが、例えば今回取り上げるちばてつやの『おれは鉄兵』などでもまだまだ義務教育真っ只中の少年が大人を驚愕させつつも大酒を呑んでいるし、実際に酒を呑まずとも、例えばクレヨンしんちゃんなどのように牛乳を呑んで実際に酔っ払っているようになるといった描写は珍しくもないのであります。そもそも酔っ払いというのは特にギャグマンガの登場人物として頻出する存在なのでありまして、その登場の有無もしくは多寡があるのは単に作者自身の酒好き/酒嫌いに依拠するものに思えます。というわけで、マンガには必然として多くの酒呑みが登場し、彼らがいきなり酔っ払った姿を晒すことも少なくはありませんが、酔っ払っていく過程を丹念に描かれることも多いのであります。ちばてつやのマンガにあっては、酒場は単なる切り取られた景色の一枚に留まらず、ドラマを生起する舞台でもあるし、登場人物たちに安らぎをもたらしたり、苦悩を深化する場でもあったりするのです。
 
 では、具体的にちばてつやを代表するまんがのいくつかを見ていくことにします。ちばてつやのマンガ家としてのベースは少年誌を中心とした少年マンガということに異論はないと思います。戦後期に活躍していた人気マンガ家たちには珍しいことではないのですが、少女誌などでも執筆をしましたが、まあ概ね少年マンガの作家として差し障りはないと思います。やがて、ちばは活躍の場を青年誌に移行することになりますが、途端に酒場の描写が激増するのがなんとも分かりやすくて嬉しいのでした。実際に少女マンガ誌に連載、執筆された『1・2・3と4・5・ロク』などは途中まで再読したけれど、酒場の描写など皆無だったのです。この際、そうした些事は無視して、分析などもあえて介入させずに列挙することにします。





『おれは鉄平』(講談社, 1983-80)の主人公である上杉鉄兵は中学生。野生児と呼ばれたりもするのですが、単なる暴れん坊ではなく酒もガブガブと浴びるように呑んだりするから恐ろしい。というか、それが良いか悪いかはともかくとして中学生が酒など呑むのはさほど不思議ではないのですが、ちばの描画が丸っこくて可愛いせいもあってか小学生低学年のような見掛けなので、さすがにそんなガキんちょがガバガバと酒を煽るというのはヤバそうであります。そのためかその後は鉄平が呑む姿が描かれることも(恐らく)なくなって、物語も当初のギャグマンガから学園スポ根マンガ=>冒険宝探しマンガと驚愕の展開を繰り広げることになるのです。最後の埋蔵金探しの件、ほぼ大団円を迎える頃になって、ようやく蕎麦屋での呑みのシーンも登場します。



 続いては、『紫電改のタカ』(講談社, 1992)。主人公の滝城太郎の正確な年齢は不祥ですが、本人もまだ未成年と語っております。鉄平よりは間違いなく年上ですが、滝は至って真っ当な人生を送ってきたようです。周囲の若い兵士たちが事あるごとに行われる酒盛りの席でも一人飲酒を固辞し続けます。ぼくは、ちょっと滝氏とは仲良くなれそうにないなあ。可愛い許嫁もこんなお堅い男だとそれはそれで息が詰まりそうだなあなんて思わぬでもないけれど、ご想像通りそれは叶わぬ杞憂となるのでした。






Last updated  2020/06/26 08:23:38 AM
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2020/05/25
 押井守という方が酒呑みかどうかは知るところではないけれど、酔っ払いを好んで描くところを思うときっと酒呑みの酒好きであるとは思うのです。でもそこで描かれる小市民の哀愁や寂寥感、愚かだけれど憎めない酩酊っぷり、理屈っぽくても可愛げがあるところなどがあまりにも克明なことにこの人を一緒に呑むのは避けた方がいいと思うのでした。どうしてって、きっと呑みながらもこの人は酔っているように振舞いつつも、その実、きっちりとわれわれ単なる酔っ払いを観察して作品に取り込もうと画策しているように思われるからです。でもまあ凡庸で退屈な呑み方をするぼくなんかでは、押井氏の観察対象とはなり得ぬだろうから、この心配は杞憂というものです。ということで、お楽しみ―なのかなあ、作品の一部のみピックアップして面白がるのは、映画作家にとっては失礼に当たるのかもしれないなあ―の押井守作品の飲酒シーンを一挙に放出します。あ、あとキャプチャー画像は、ちょっとレアなものだけとしました。といっても大概は動画配信サービスなんかで見ることができると思いますので、ぜひ実地に押井氏のお眼鏡に適った呑兵衛たちの姿を動画にてご覧ください。



[参照1]



[参照2]



[参照3]

『タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン』(1982)「第10話 つらいなあ! 休日出勤[キャプチャー参照1]」、「第14話 太平洋無着陸気球横断[キャプチャー参照2]」、(おまけ「第15話 にせリースで罠をはれ[キャプチャー参照3]」(押井は関与なし?))。このシリーズにはお決まりのお仕置きエンディングが用意されていますが、このイッパツマンでは、「人間やめて、何になる!?」として、国分寺の屋台「うえだや」を主な舞台に悪玉3人組が酩酊し、クダを巻くという描写があります。これが哀感があってなかなか良いのです。押井氏は絵コンテで関わっているようです。屋号とその主人の生々しさから、もしやと思いスタッフロールを眺めてみたら、担当ディレクターが植田秀仁とあります。これかと思ったら、Wikipediaにやはりその通りであるとの記載がありました。

『うる星やつら オンリー・ユー』(1983)では、立食いそば店にて瓶ビールを立呑みするシーンがあります。ガラス張りの喫茶店や牛丼屋も登場。
 
『機動警察パトレイバー テレビアニメシリーズ(ON TELEVISION)』(1989-90)「第9話 上陸赤いレイバー」では酒田の土産物店併設の食堂で呑むシーンが描かれユーモラスだし、「第14話 あんたの勝ち!」では課内の軋轢を呑み会で解消するため男女それぞれに分かれておでん屋台で呑むという酒呑み泣かせの愉快な内容となっています。『機動警察パトレイバー 新OVA版』(1990-92)「第8話 火の七日間」では「中華・定食 上海亭」で餃子と酢豚?で瓶ビールを呑むシーンが描かれます。
 
『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(2008)は、物語の要請上、一風異色な呑みの描写となります。ドライブンイン式のアメリカンダイナーや樽の中のような造作の高級レストランで呑むというものですが、ここでの呑みは終始沈鬱な印象でした。



[参照4]

おまけ:『うる星やつら』「第7話 秋の空から金太郎!」(おでん屋台[キャプチャー参照4])、『機動警察パトレイバー 新OVA版』「第1話 グリフォン復活」(立呑みやきとり店)、「第9話 VS」(熱海の旅館にて催された宴会シーン)、「第14話 雪のロンド」(スナック風の呑み屋さん)、「特別編 THE DAY AFTER」(未見ですが、特車二課解散後の屋台での呑み会を描く音声ドラマのようです)
 
 といったわけで、まだまだ取りこぼしの作品もありますが、今回はここまで。またいつか残りの作品に触れる機会があった際にはその3があるかもしれません。






Last updated  2020/06/26 08:26:11 AM
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2020/05/23
 押井守という人が立食いに対して、並々ならぬ執着を隠しもしない、いやむしろ嬉々として自身のみならず周辺の人々をも巻き込んでその描写に勤しんでいることはファンであれば当然周知の事実でありましょう。立ち食いそば屋は、押井守にとって「ディスコミニュケーションを求める若者の集う不穏な空間」であるらしいのですが―実際の表現では必ずしもそうなってはいないようです―、一方で、やはりその偏愛ぶりを誇示する屋台という舞台は、「コミニュケーションを求める若者の集う不穏な空間」として機能しているようです。しかし、立食いそばの発祥を江戸時代の屋台に求めることができるとしたら、もしかすると立食いそば屋と屋台、ディスコミュニケーションとコミュニケーションとは表裏一体なのかもしれません。ともあれ『dancyu』の1993年10月号に「立喰いそばの正しい食し方」と題する記事も掲載されているらしいから筋金入りの立食いニストであることは間違いなさそうです。実際、ご存じのように『立喰師列伝』(2006)、『女立喰師列伝 ケツネコロッケのお銀 -パレスチナ死闘編-』(2006)といった実写映画を集大成と見做すべきかは様々な意見がありそうですが、とにかく並々ならぬ思い入れを抱いていることは疑うべくもないのです。とくどくどしい文章を書いている暇はありません。とても満遍なくとはいきませんでしたが、過去に遡及して押井作品―及び関連する作品―を見直してみると思っていた以上に多くの立食いそば屋やそれに付随するお店が登場することが判明したのでその一端をご覧いただきたいのであります。詳細なコメントを付するよりは実地にご覧いただくためにも極力事務的に報告させていただきます。



[参照1]



[参照2]



[参照3]

『うる星やつら』(1981-86)「第122話 必殺! 立ち食いウォーズ!!」(ほぼ全編を通して立食いそば店が舞台[キャプチャー参照1])、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984)(ハリアーの発射基地となっている友引銀座の立食いそば店、その他巨大な狸の置物のあるお好み焼店、名曲喫茶、牛丼屋)、『紅い眼鏡/The Red Spectacles』(1987)(天本英世が「ソバ喰う映画」と評した、その他映画館や「純喫茶 再会」(看板のみ))、『機動警察パトレイバー』(1988)(旧OVA版(1988)「第5・6話 二課の一番長い日」、『機動警察パトレイバー テレビアニメシリーズ(ON TELEVISION)』(1989-90)「第29話 特車二課壊滅す!」(シリーズではお馴染みの「上海亭」の従業員不足による機能不全を描く)、新OVA版(1990-92)「第10話 その名はアムネジア」(立食いそばだけでなく「上海亭」や「喫茶 回想」なんてのも登場)、『御先祖様万々歳!』(1989-90)の「第6話 胡蝶之夢」(立食いそば屋[キャプチャー参照2])など。
 
参考:『ケルベロス-地獄の番犬』(1991)(中国料理の露店、ラーメン屋台)『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(喫茶店)、『イノセンス』(2004)(ヤクザの事務所を兼ねた?中国料理店)
 
おまけ(押井は関与なし?)):『タイムボカンシリーズ ヤットデタマン』(1981)「第12話 危うしジュジャクの曲芸」(立食いそば店)[キャプチャー参照3]、『機動警察パトレイバー テレビアニメシリーズ(ON TELEVISION)』「第11話 雨の日に来たゴマ」(ラーメン屋台)
 
 といったように、ざっと眺めただけでもこれだけの執着を確認できたのだから驚きです。でも、なんか物足りなくないですか、ぼくは物足りません。そうなのです、これだけリストアップしたのにも関わらずそこには酒がないのですね。何も子供向けの番組だから酒が出てこないわけではないのです。その2では、いよいよ飲酒シーンの登場する押井作品をご披露したいと思います。






Last updated  2020/06/26 08:26:51 AM
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2020/05/14
 本当なら1回で済ますつもりだったんですが、面白いネタが多過ぎて一度には紹介しきれぬので、もう少し続けることにします。今回は小振りな酒場セットで繰り広げられるコントからご覧いただきます。
 


 いずれも見ての通りの暴力的なコントでありまして、窮屈な店舗を活かしたその大きなギャグの強烈さに衝撃すら覚えます。まさに見たまんまのど直球のネタには全員集合に見られる大掛かりな仕掛けが企てられていますが、ああいうオープンな舞台上のセットでのコントとはまた違ったより映画演出的な表現が実に上手く活かされています。
 


 余りにネタばればかりしていては、叱責を受けてしまいかねませんので、酒場の他のヴァリエーションも見ていただきます。
ドリフ映画では定番のおでん屋台も登場しますが、キャバレーも頻繁に登場する舞台です。画は取り損ねてしまいましたが、殺風景な中にソファがぽつぽつと置かれた侘しい内観に子供時分はうすら寒く感じたものです。その延長線上にノーパン喫茶なんてのも登場しますね。そんな中でも極端さでは随一なのが段ボールハウスの酒場であります。当然のように狭い店内には店主ばかりでなくホステスさんが2名もいるのだから、三密どころではなくて、まことに怪しからんのであります。だからお巡りさんにもお叱りを受けるのです。
 




 さて、こうしてドリフのコントに登場する酒場の描写を見てきましたが、ぼくの記憶に残っているのがもっといかりやのペーソスが感じられるものだったので、それよりはずっと明朗だったという印象です。何にせよ現在は、「仕事のあとの一杯!」をへんてこりんでなくてもいいから、せめていつものマンネリ酒場でも構わぬから「ささやかな趣味」として楽しめる日が戻ってくることを願いたいものです。








Last updated  2020/06/26 08:27:39 AM
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2020/05/12
 この長い休みを過ごしながら、ぼくにとっての居酒屋の原点はどこにあるかというような益体もないことをつらつらと思ってみたりしました。一方で、3月の下旬であっただろうか、コメディアンの志村けんが新型コロナウイルスへの感染により死去されたというニュースを目にしました。ぼく自身は志村けんに対して、そこまでの思い入れもなかったし、無論面識などありもしないから、それほどに酷い衝撃を受けるということなどなかったのであります。しかしそれでも子供の頃には『8時だョ!全員集合』を好んで見ていましたし、中学生の頃になると地方テレビ局の深夜枠でドリフターズが出演する陰鬱な映画を毎週末の愉しみにしたものです。でもよくよく思い返すともっとも親しみがあったのが、フジテレビ系列の『火曜ワイドスペシャル』で長く放映されていたドリフのコントに徹した番組だったのでした。
 
 とどうして、じらし気味に番組名を書かなかったかということには、理由があるのでご容赦いただきたく。実は今回改めて調べてみて初めて認知したのでありますが、『ドリフ大爆笑』は断じて『ドリフの大爆笑』ではなかったということです。ご覧になっていた方は言わずもがなでありますが、一応おさらいしておくと、ぼくと同様の勘違いをなさっていた方は、すでにご明察ではあると思いますが番組のオープニングの際に、まるで気乗りしないかのように例の音楽に合わせてドリフの面々がお揃いのスーツ姿で緩慢なノリでステップを踏むのですが、その時に流れる歌が「ド・ド・ドリフの大爆笑/チャンネル回せば顔なじみ/笑ってちょうだい今日もまた/誰にも遠慮はいりません(以下4番まで続く)」だったわけであります。歌もメロディーに乗せると、「の」がないとバランスが取れないのだし、メロディーに乗せるではないにせよ『ドリフ大爆笑』もまた語呂が悪い気がする。だったらもう番組名も『ドリフの大爆笑』としておけば良かったのではないかと思うのだけれど、実のところはまあどっちだって構わぬのであります。
 
 さて、自粛中で鬱々としているからということでもないけれど―実はとても充実しているのですが―、御笑いを渇望する気分も高まったところですので、ネット社会の利器を活かして視聴することにしました。いやはやぼくの記憶ではもっとどんよりしたムードのネタが多い印象がありましたが、改めて見ると派手派手しいのが思ったよりも多くてびっくりさせられました。ドリフのコントは大掛かりの一発ネタも少なくないけれど、本領はメンバーの個性を活かした小ネタの積み重ねにあるので多少のネタバレを辞さずに印象に残ったのを紹介します。
 
 居酒屋のセットは大雑把に2パターンあります。最も登場の機会が多いのが以下の店舗になります。格子戸に暖簾と赤提灯、手前には植え込みがあるというパターンです。繁華街の外れの住宅街との境目にありそうな構えですね。こちらの店内は広めのスペースになるので、じっくりと長尺のネタが多いようです。ドリフのネタの根本にあるしつこさが発揮されます。この一連のコントはいかりや長介が曲者ぞろいの店主と彼を陥れる仕掛けの施された酒場を訪れるというのが定番です。たまに加藤茶と志村けんとの絡みやメンバーが数名で訪れたり、由紀さおりなどのゲストが絡む場合もありますが、ぼくにとってはやはりいかりやが客となるのが王道のパターンとなります。





 一つ目は仲本工事との絡みです。開店したての店にチンピラが押し掛けるというもので、大きなオチはないけれど、いかりやの殴られっぷりが笑わせます。
 
 次は志村けんとの掛け合いになります。これもドリフの定番逆である西部劇におけるスウィングドアで顔面を打ち付けられるというのがどんどんエスカレートするネタの応用編。見てのまんまでありまして、この当時はまだまだ吊り下げ式のチェーンを引き下ろすタイプの水洗便所が一般的だったのでしょうか。
 


 高木ブーも居酒屋店主ではそれなりに目立っています。これはおでん種の大根が見つからず、浴槽サイズのおでん鍋に飛び込むというもの。実に楽し気に演じています。


 そして、最後の二つはサプライズ系のびっくりネタです。一つ目は開店したばかりの加藤茶の店に入ってみると、焼け跡だったというもので、これはコントが始まった早々にネタが明かされるのですが、この状況で延々とコントが続くという笑いの定石を裏切るような展開になります。次の志村けんとの絡みも同じパターン。店の中にさらに店舗があるという事実は始まってすぐに明かされるのですが、その後、いかりやと志村の掛け合いが延々と続きます。こうした大きなギャグを冒頭で披露してしまうという贅沢なコントに驚かされるのです。
 


 これだけの断片をご覧いただいただけでも思わず笑ってしまいますが、実際にドリフのメンバーの動きや喋りを聞くとこれだけじゃ全く伝わらぬ愉快さがありまして、つい笑ってしまうと思います。ドリフはどうも苦手という方も一度ご覧になるとその過激さに撃たれるかもしれません。






Last updated  2020/06/26 08:28:38 AM
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2020/05/10
 ぼくは、ガキの時分から口卑しい人間でありました。恥ずかしい告白となるけれど、好きなテレビ番組は料理番組でありました。NHKの『きょうの料理』は当然のこと、『料理天国』、『チューボーですよ!』、『料理の鉄人』、『料理バンザイ!』などを見ていたし、夏休みなどの日中には『キユーピー3分クッキング』、『ごちそうさま』、『金子信雄の楽しい夕食』などにも目配せしていたから我ながら食い意地が張っているのです。『欽ちゃんのどこまでやるの!』、通称『欽どこ』も「推理ドラマ」というゲストが5種の献立をどういう順番に食べるのか当て合うという他愛のないコーナーを込んだものでした。これらの番組を視聴しつつ涎を垂らしたかというとそういうこともなく、極めて冷静にヴァラエティー番組としていたのだから、自身の食い気というよりはわざわざ手間暇かけて食い物を拵える様や他人が喜悦に満ちた表情を浮かべて食っている姿が愉快だっただけなののかもしれません。
 そんな料理番組好き―であった―のぼくですが、特に好んで見たのが、『世界の料理ショー』でありまして、この番組だけは番組のラストで観客席に腰を下ろしているところを料理研究家のグラハム・カーに誘われてその卓に着いて彼の作った料理をご馳走になりたいと心の底から願ったものでした。この番組は、グラハム自らが司会・進行・出演・調理・試食をこなすというワンマン料理バラエティー番組でありまして、これをご記憶の方は相当な食いしん坊なのだろうと思うのです。何といってもその番組中で紹介される料理というのがとんでもなくハイカロリーっぽく思われ、こんなのばかり食っていては長生きもままならぬというトンデモナくゴージャスかつ不健康そうな料理だったからです。実はお決まりのWikipedia情報によれば、1990年代に『新・世界の料理ショー』が放映されたそうで、「健康志向の時代にあわせ、低カロリーでおいしく作れるレシピを提案していた」そうであります。グラハムの女房/ダーリンであるところのトリーナの病気をきっかけにして己の3高―高脂肪、高カロリー、高コレステロール―を自省したことによるそうな。実に殊勝な心掛けではあるけれど、この番組がそしてグラハムから油っ気を抜いたらちっとも面白くなさそうに思えるのです。日本語版として現存するのは全52回だそうで、DVD-BOXまで出ているらしいからこの番組はぼくばかりでなく多くの視聴者がいたらしいことが推測されるのです。この番組の面白さは、やはりグラハムが好き勝手にワインを呑み、楽し気に料理を作り、下ネタを語り、そして助平な表情を浮かべて女性観客を彼の作った料理の前にエスコートする、つまりはグラハムのキャラクターに負うものなのでしょう。料理などは高級食材を多く用いるという予算面の都合だけでなく当時における入手困難さ、そして何より調理工程の面倒くささから実現可能性が低くて、結局そのレシピを一度として再現する機会を持つに至ってはいないのです。2012年頃にテレビ東京で再放送されたとあるので、この際に再見の機会に恵まれていたならば、実作するチャンスもあっただろうに。若い頃はグラハムにあやかって赤ワインを呑みながら調理するという真似もしてみたりしたけれど、近頃は実際に呑み出す前にお腹が張ってしまうから、やはりこの番組を模倣する機会はすでにぼくの人生では失われてしまったのでしょう。
 
 古くは萩尾望都が画を担当した『ケーキ ケーキ ケーキ』などをその発祥とする料理漫画の系譜でありますが、小学生の頃は『包丁人味平』、その後、当初は『ブラックジャック』の拙劣な模倣でしかなかった『ザ・シェフ』が、昆虫食など当時は極めて特殊な嗜好であった昆虫食などその漫画技術よりも食材への拘りの極北を目指し出してからは、俄然面白くなって好んで読んだものです。『ダンジョン飯』も似たような興味から大いに楽しんでいます。その後のこのジャンルの多用化は目を見張るものがあり、この場で展開するのはいかにも荷が重いのです。『酒のほそ道』をはじめとした酒呑みまんがもこの系譜をなぞっているばかりで、今後は酒や飲酒がもたらす生理的変化などをストーリーや作画に組み込むことが求められると思うのです。ともかくも紀行物の要素を組み込んだ『孤独のグルメ』、市井の人々のささやかなドラマをほのかなユーモアとペーソスで描く『深夜食堂』、酒呑みまんがとしてはぼくには微塵の魅力も感じぬ『ワカコ酒』などまんがの枠を飛び出して実写化されることも多くなり、近頃のこのジャンルの停滞感と隆盛ぶりを矛盾と思っていたけれど、実は矛盾でもなんでもないのかもしれません。だって、食べることってのは多くの一般的な日本人が一日三食を毎日続けているのだから、淡々と同じ行為を繰り返すのが退屈なのは、当たり前なことで多少の食材の先鋭化、調理のドラマティックさなどというのは食うという振る舞いを前にしては些少な抵抗でしかないのだと思うのです。
 こうして料理漫画の宿命を悟りきってみせながらも人は生きていくために食い続けなければならぬのだから、できる限りは退屈さに抗いたいという意思を、エッセイまんが風を装いつつ幾らか過激に実践して見せていて、やはり目が離せないまんがに『めしにしましょう』小林銅蟲作があります。キャラクターのはじけっぷりや力づくなユーモアなど様々な魅力を備えたこのまんがですが、徹底して見た目に拘る「普通ではないポテトサラダ」など惹句にある「“やり過ぎ飯”漫画!」を読んでいると実作する気合は起らぬけれど、作者自らが実作しているという作品を越えたところにある迫真とそれがもたらす滑稽さが堪らなく愉快なのです。酒呑みブログを続けるものとしては、このまんがを上回る酒呑みまんがが誕生することを期待したいと思うのでした。






Last updated  2020/05/10 08:30:05 AM
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