今更ながら緊急事態宣言後に行っておきたい酒場 池袋篇
池袋駅から明治通り沿いにびっくりガードを渡ってさらに目白方面に数分歩くといくつかの暗くて細い路地があるので覗き込んでみていただきたい。明治通りと間もなく交差することになる山手線と西武池袋線が並走するわずかな区間は、近頃巨大マンションの建設などもあり飲食店も数少なく、池袋とは思えぬひっそりとしたエリアになっているのですが、チラホラと若い人向けの若い人がやってる店も開店しているようです。そんな静かな路地のとりわけ暗く細い通りに目指す酒場はあります。Google Maphttps://www.google.co.jp/maps/place/%E3%80%92171-0022+%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E8%B1%8A%E5%B3%B6%E5%8C%BA%E5%8D%97%E6%B1%A0%E8%A2%8B%EF%BC%91%E4%B8%81%E7%9B%AE%EF%BC%98%E2%88%92%EF%BC%92%EF%BC%90/@35.7242106,139.7107109,3a,75y,199.96h,90t「おとみ」には年1度位のペースで忘れそうになるタイミングを計るかのようにお邪魔しています。表通りには焼鳥の有名老舗店「母屋」もあったりしますが、この酒場は忘れられたかのように孤独な存在を放っています。先日初めてS氏だったかと連れ立ってお伺いしましたがそれ以外はいつだって一人で来ていました。そしてお客は大概の場合ぼくだけというこれまで営業を続けてこられたのが不思議な程の寂寥酒場なのでありました。いつもは寡黙な主人ですが、この夜は笑顔を浮かべておられます。それもそのはず、先客として寛いでおられたのは近所の蕎麦屋の主人だったのでした。どちらも古くからのお店でありまして、当然ながらに旧知の間柄。どちらのお店も繁盛しているようには見えませんが、互いに持ちつ持たれつの関係を築きくずさずに乗り切ってこられたのかもしれません。既に呑んでいたぼくには肴は冷奴で十分です。というか手間の掛かる品を頼んでお二人の大事な交流時間を邪魔してはいけないと考えたのです。そんな思いが伝わったわけではないのでしょうが、珍客のぼくも仲間に加えてくださるようです。いずれもお店もお邪魔しているのだけれど、お二人はぼくのことなどちっとも記憶になさそうですが、それでもちっとも構わぬのであります。こちらが覚えているのに相手がまるで記憶にない状態というのは案外気分のいいものなのです。やがて蕎麦屋の主人はお帰りになりますが、主人とぼくとの会話は尽きることがなく深夜まで呑み語ってしまったのでした。