健康コラム

2010/09/15(水)07:23

毒によって...。

薬(37)

 「毒をもって」と言われると「毒を制す」と続けてしまうのですが、最近では別なものを制するようになってきているようで、これまでは怖い物としか思えなかった毒が意外な分野で役に立っていたりします。  最新の毒に関する話題では蛇の毒に注目が集まっているとの事で、蛇の毒が制してくれるのは毒ではなく気になる顔のシワだと言います。  蛇の毒といっても大きく分けると3種類があり、神経の伝達を阻害して筋肉の動きを止めて活動を不能にし、呼吸に必要な横隔膜の動きを止める事で窒息死させる神経毒。血液の凝固作用を阻害して血液を固まりにくい状態にした上で、血管系の細胞を破壊して出血させる出血毒。強力なタンパク質の分解作用を持ち、筋肉の組織を破壊してしまう筋肉毒がある事が確認されています。  3種類の毒の中で注目を集めているのは、神経の伝達に関わる神経毒ではないかと思われ、顔の筋肉の動きを制限する事でシワの発生を抑える事が考えられます。  同様の手法は食中毒菌として知られたボツリヌス菌の毒素においてもすでに実用化されており、ボトックス注射として美容外科などで施術が行われています。  ボトックス注射はシワの近くや顎の横にある筋肉をボツリヌス菌が作り出す毒素を使って麻痺させる事で、シワを取ったり、小顔に見せたりするというもので、注射によって施術が行われ、手術が必要ではない事からプチ整形として親しまれています。  話題の蛇の毒は、顔の表情を作っている表情筋が繰り返し動かされる事によって、表情筋稼動部の周辺にシワができる事から、表情筋の動きを強制的に動かない、表情筋がリラックスした状態を作り出し、シワ取りを行うとされています。  すでに製品化されている物は、蛇の毒と同じ物を合成した合成ペプチドの状態で製造され、クリームなどを塗布する形で愛用するようになっています。  蛇の毒による筋肉弛緩作用やボツリヌス菌の毒素によって筋肉を弛緩させ、シワ取りが行える事はすでに実績が確認されている事ではありますが、皮膚の表面に塗布する事で充分な効果が上るのかについては若干の疑問が残ります。今後、手術も注射も行わない新たなプチ整形として普及する事と考えられますが、シワは減らせても表情筋の動きが制限されるという事で、表情が乏しくなるという事に抵抗を感じてしまうのは感覚が古いからでしょうか。

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