お湯の恵
レタスが大好きで新鮮なものを見掛けると購入し、買い置きしています。食べやすい大きさに手で千切って薄く輪切りにしたキュウリと合わせてサラダにするのがお気に入りなのですが、ライスペーパーと合わせて生春巻きにしたり、火を通した状態も好きなのでソテーしたりと、いろんな食べ方をしています。 そんな大好きなレタスですが、つい多めに買ってしまって冷蔵庫でしんなりさせてしまう事もあります。そんな際はレタスの裏技ともいえる50度くらいのお湯にさっと潜らせて、新鮮な時と同じようなパリっとした食感を取り戻すようにしています。 レタスにお湯という事で、どこか違和感を感じてしまうのですが、一旦、お湯に浸す事でレタスの細胞や含まれている水分が活性化され、ペクチンの層も整えられる事から新鮮な時以上にレタスの食感は良くなるとされます。 レタスに限らず人の皮膚もお湯によって状態が良くなるという研究結果が先日報告されていて、少し熱めのお湯でシミやシワを予防できる可能性が示唆されていました。 加齢による皮膚の衰えの象徴ともいえるシミとシワ、特にシワは皮膚のコラーゲン層の減少や劣化が原因とされ、皮膚のクッションのような役割を果たしているコラーゲンが減少して層が薄くなったり、コラーゲン層自体の弾力がなくなる事でシワが生じるとされています。 コラーゲン層の劣化に繋がる最大の原因は紫外線とされ、紫外線を浴びる事でコラーゲンの生産量が減少してしまったり、コラーゲンを分解する酵素が増えてしまうなど、紫外線は皮膚のコラーゲンに深刻な影響を与えてしまいます。 皮膚の細胞内では熱などのストレスを受けると「HSP(熱ショックタンパク質)」と呼ばれる特殊なタンパク質が作られ、熱だけでなく刺激物や毒物、紫外線などのストレスに対抗する力となります。 これまでの研究でHSPにはたくさんの種類があり、中でもHSP70は細胞を保護する力が非常に強く、紫外線による傷害を抑えたり、メラニンの過剰な生産を抑制してシミを防ぐ働きがある事が知られていました。 HSP70を有効に活用すればシミを防ぐ事が可能となるのですが、シミの元となるメラニンには皮膚を紫外線から守る働きがあり、単にメラニンの生産を抑えるだけではかえって紫外線による皮膚傷害を悪化させてしまう事が考えられます。 そのため自然な形でHSP70を増やす事が理想なのですが、42度のお湯に皮膚をさらす事でHSP70の量を増やす事ができるとされます。今回の研究では42度のお湯に浸かってHSP70が増えた状態で紫外線を浴びると、シミができにくいだけでなくシワの発生も抑えられる事が確認され、お湯によって皮膚の防御力が上がっている事が判ります。 同じお湯でも37度以下の低い温度ではHSP70が増えない事からシワの発生が抑えられず、HSP70がそれまでいわれてきたシミの抑制だけでなくシワに対しても有効に働いている事が考えられ、詳細なメカニズムを検証したところHSP70がコラーゲンを分解するタンパク質を減らす事が確認されています。 同様の働きは同じHSPであるHSP47にもあると見られ、今後、研究が進めば効果的なシミ、シワ対策の化粧品が登場する可能性があります。とりあえず今のところは少し熱いと感じるお湯を浴びる事。日中、紫外線を浴びる際は、朝の洗顔を熱めのお湯にすると良いのかもしれません。