テーマ:囲碁全般(745)
カテゴリ:囲碁
今回は囲碁ボケタイゼム賞の代替賞品としての棋譜講評。講評はどうしても手の良し悪しに終始しがちになったり、焦点が絞りにくく解説が難しいなどの理由で今まではメールで済ましていたのだが、今回記事にする理由はこの碁に魂を揺さぶられたからである。 第130回タイゼム賞を獲得したあどさんの碁。ネット碁とのことであどさんの黒番で8子局。 棋譜再生(あどさんのページ) 一言で表現すると黒には躍動感が溢れている。この碁を並べていると、冒険映画を見ているような気分になる。実にファンタジーだ。 置き碁の黒はどうしても逃げの気持ちになるもの。終始逃げまくる碁になってしまう場合もあるが、それも悪いとは言い切れない気がする。見えない恐怖と戦いながら逃げ切るのも、自信と力になる。ただ一生逃げてばかりでは新たな世界を見ることはできないので、だんだんと勇気を手に入れなければならない。 黒8 面白いチキリ飛び。黒4から上にコスミくらいなら普通の着想だが、実戦の8は実に面白い。ハザマをついてくれば黒はどちらから出て裂いて行っても打てそう。黒10は手筋であるが、素朴に出て行くほうが良かったと思う。しかし、黒18まで好調。 黒20 ピンとつぎ。姿が良い上に右辺の白に圧力をかけてすばらしい手。 黒22 強烈。この手では、23と上にコスめば苦労せずに局面を制圧できるのだが、さらに根こそぎ攻めようと言う手である。難しくなるけれど、十分あり得る手。冒険心にあふれた手。黒24では、37から直線的に切る方が白も重くなってかわし難いのだが、着想は同じ。 黒42 勢いのあるすばらしい手。切り違いもあっただろう。白43に44も好手でここの白3子はほぼ立ち枯れ。さらに右辺白から切り違いに対して、黒48・50と堂々と戦ったのも良い手。白が痺れてしまった。 黒66 この手はうま過ぎる。黒68と急所に膨らまれては白は苦しい。 棋譜はここまでであるが、こんなに素晴らしく打たれては白はたまらない。手合い違いにも見えるが、本当に8子近いの力の差があってこの内容であれば驚愕である。こんなに躍動感のある碁を打ちたいものだと、講評する立場の私の方が勉強させられてしまった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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