2020/05/22(金)21:12
橋の下からござ候。 11、12 野村尚宏
11
家の裏庭にもぐらを離した。
ガサゴソと穴を掘り始めた。
しばらくすると顔だけを土から出してこちらを見ている。
ご婦人は少しの間もぐらを見ていた。
なにやら奇妙な動きをする。
上半身と言うのだろうか?ぴょこんと土から出してボディービルダーのポーズをしているように見える。
『郵便でーす』
もぐらは土に潜り込んだ。
12
長女からの手紙だった。
赤ちゃんを抱えていた。
訳のわからない罪で執行猶予になってしまったらしい。
長女はご婦人に似た性格があり、反抗抵抗言い訳をあまりしない。
元気で良かった。
涙が一筋流れる。
お父さんに駆け寄った。
写真は無言で笑っているだけ。
カタン、写真が倒れた。
ガサゴソガサゴソ、、、
もぐらが変なポーズをしている。
思わず吹き出してしまった。