精神外科(せいしんげか)とは、かつて精神疾患の治療法として流行した、大脳を切り取る外科手術を行うことにより、精神科医による患者治療が行えるとした医療分野であった。代表的なものに前頭葉白質切截術(英語版)(ロボトミー)がある。
かつては、精神外科の名のもとに爆発性精神病質などの診断を受けた患者に対し、情動緊張や興奮などの精神障害を除去する目的で前頭葉白質を切除する手術(ロボトミー)が実施されていた[1]。しかし、ローズマリー・ケネディが父親の命令で前頭葉白質を切除する手術を受けたところ後遺症を負うなど、のちに前頭葉切截術(ロボトミー)の問題点が明らかとなった[1]。前頭葉切截術(ロボトミー)が禁忌とされるに至った経緯については#歴史を参照。
なお、語源については、人を「ロボット (robot)」 のようにしてしまうからロボトミーという誤解が一部ある。ロボトミー(lobotomy)は、肺や脳などで臓器を構成する大きな単位である「葉(lobe)」[2]を一塊に切除することを意味する外科分野の術語であり、ロベクトミー(lobectomy, 葉切除)と同義である。
当項目のロボトミーでは「前頭葉切除」を意味し、「大脳葉にある神経路を1つ以上分断すること」と定義される[3]。肺がんなどのため肺の一部を葉ごと切除(例:肺下葉切除)することもロボトミーの一種であるが、臨床ではロベクトミー(肺葉切除術、肺葉切除)の方が用いられる。
精神外科 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』