サンガンピュールの物語(恋愛編)2話-2-次の日も、そのまた次の日もゆうこ(サンガンピュール)は毎日のように先輩を見つめていた。そしてある日、部活の時間中にサッカー部の池田先輩にアタックしてみた。 「私・・・、池田先輩の・・・ことが・・・、すっ・・・好きです!」 ところが池田先輩はそっけなく答えた。 「あっ、そう。別に俺は気にしてないし。気持ちだけいただくよ」 「ええっ!!・・・こんなにあっさりと片付けられるなんて・・・。こんなのあり!?」 何のために勇気を振り絞ったのか、わからなくなったゆうこであった。 他の先輩や生徒会長に告白しようと企てるも、時間の関係上なかなか上手くいかない。自分の人生は、常に自分の思い通りに行くとは限らないのだ。いや、全部思い通りに行く方がむしろおかしい。だってそいつは独裁者ということになるのだから。 ゆうこは自分の教室では居心地を悪く感じた。そう、彼女のクラスメイトの男子の中には変なヤツしかいないのだから。頭がお花畑状態になることもしばしばで、国語の漢字テストでも、数学の小テストでも成績が悪くなり始めた。 そんな中、彼女の恋を巡る行動に大きな転換点を与えた生徒がいた。 上坂(かみさか)というクラスメイトの男子だった。そう、ゆうこが毛嫌いしている自分と同じクラスメイトの男子である。その中で上坂というのはかなりの問題児だった。学校の成績は良くもなく、悪くもなくといった感じ。特に歴史・地理に限ってはすごく勉強できる生徒だ。だが、女子に対する受けがかなり悪い。自宅から変なものを持ってきたり、給食で変な食べ合わせをしたり、あるいは何の前触れもなく急に笑い出したり、急に泣き出したり、と。特に同学年の女子に対してはかなり気持ち悪がられていた。 「ねえ、上坂君ってきもいよねえ」 「そうだよね、いつか車にひかれて死ねよって感じだよ」 女子の間でこんな悪口が当然のように流れるような、雰囲気の悪い教室になってしまった。ゆうこもその通りで、「実に迷惑なヤツだ」と憤慨したことがあった。しかし「天の声にも変な声がある」という言葉があるが、ゆうこの恋愛にまつわる行動も、変な天の声に振り回されようとしていた。 (第3話に続く) ジャンル別一覧
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