社会保障と税の一体改革をめぐる民主党内の混乱について数回書いてきたが、ついに小沢氏を中心とする約50人が民主党と決別し(
2日の日記)、
新党「国民の生活が第一」を旗揚げした。早速新党きづなと統一会派「国民の生活が第一・きづな」を結成し、衆議院では46人の第3勢力となった。2大政党化が進んだ国会においてこれほどの規模の第3会派は久しぶりだ(2000年の衆議院解散まで公明党が42議席を持っていた)。
政権交代を果たした時の民主党のスローガンをそのまま党名に採用したところは
「直球勝負だな」という印象を受けた。しかしその反面、野田内閣の閣僚がいう「痛みを伴う改革から逃げている」とか「ポピュリズム政治」とかの趣旨の発言・指摘は当たらずとも遠からずという印象をも受けた。
新党が党綱領を掲げたこと自体は良かった。「国民の生活が第一」の哲学がなんとなくだが理解できたからだ。また、相対的に言えば、民主党には党綱領自体がないからである。特に安全保障とか憲法改正がテーマになると、親米保守派から旧社会党系まで「寄り合い所帯」の党内の意見がまとまるわけがない。
基本政策について。安易な消費税増税の阻止は分かるとして、
「脱原発」は急に言いだした感じが否めない。しかし新党が脱原発をそれなりに本気で考えている証拠がある。新党メンバーの4分の3が、
大飯原発再稼働に反対する署名にサインしていたことである(「ザ・選挙」より)。
石原・橋下氏と隔たり…「世論受け」狙う新党(12日、読売新聞)
小沢一郎元民主党代表が11日結成した新党「国民の生活が第一」は、次期衆院選を意識し、反消費増税や脱原発など「世論受け」を狙った政策を掲げた。
ただ、連携を模索する「大阪維新の会」(代表・橋下徹大阪市長)や石原慎太郎東京都知事らとの政策面での隔たりがあり、連携に向けたハードルは高い。政策の財源は不明確で、「民主党のマニフェスト(政権公約)破綻の二の舞いになる」との指摘が出ている。
◆消費税
消費増税を巡り、新党は、「増税の前にやるべきことがある」との立場で、「地域主権を確立するための行財政改革」や「スケジュール感を持ったデフレ経済対策」を主張している。党内には「公共投資を増やし、景気拡大を図るべきだ」との意見が根強くあるという。「財源がないまま、バラマキ路線へ回帰するのではないか」(民主党中堅)との見方も広がっている。
次期衆院選で「第3極」の主要プレーヤーと見られている橋下氏は、「消費税の地方税化」を打ち出している。統治機構の改革の面では主張は似ているが、財源に関する考え方は異なる。
石原氏は、「高福祉低負担の社会保障を支えるのは消費税だ」として、消費増税には賛成の立場だ。
◆原発
小沢新党は、関西電力大飯原子力発電所(福井県)の再稼働問題について、「安全性についての調査や検討が従来と同じだ」と疑問を呈している。将来的には、再生可能エネルギーへ転換していく「脱原発」を目指している。
橋下氏は当初、大飯原発の再稼働に猛反発していたが、途中で、「停電のリスクにおじけづいて」、事実上の容認に転じた。
石原氏は、原発の再稼働を容認する立場で、小沢新党と政策的には大きく異なる。
(引用終わり)
私が橋下氏の立場だったら、みんなの党との連携を強化するだろう。脱原発や行政改革、通商政策、憲法改正等、似通った主張が非常に多く、地方選挙では実際に選挙協力をやってきたからである。小沢新党は見向きもされないというのは当然なのかもしれない。
小沢氏が結成する政党は通算4党目。「近いうちに離党するかも」と囁かれ続けており、新鮮さが薄いどころかないと感じるのは当然かもしれない。私の意見としては、小沢さんはもう次の世代にバトンタッチして引退すべきでは?多くの人々の記憶に残る政治家にもうなったんだから。
達増拓也・岩手県知事が現職知事のまま新党党首を務めるという仰天案もあったそうだが、そうすべきだったかもと真剣に考えている。