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テーマ:鉄道(22997)
カテゴリ:鉄道
JR北海道が「単独では維持困難」な路線の一覧を発表して約1週間が経過しました(19日の日記参照)。私は元来鉄道オタクですが、これを受けて道内の高速バスの利便性や、飛行機でのアクセスを調べてみました。
調べた結果を受けての感想。 このまま何の手も打たなかった場合、JR北海道にはどん底の未来しかない。 そう書かなければいけないほど、ライバル交通機関の躍進が凄まじいことになっていました。 まずは高速バス。 特に北海道中央バスが札幌駅前から道内各地へ高速バスを走らせています。旭川、函館といった中核都市への路線はもちろんのこと、苫小牧、小樽といった近郊都市への路線もあれば、岩内、栗山といった小規模な町へも高速バスが乗り入れています。 道内の主要都市への所要時間、運行本数、運賃をまとめてみました。 所要時間・1日あたりの運行本数・一般片道運賃(JRは指定席料金) 札幌~旭川 (列車)1時間25分・30往復・4810円 (バス)2時間5分・37往復・2060円 札幌~網走 (列車)約5時間22分・4往復・9910円 (バス)5時間57分・8.5往復・6390円 札幌~稚内駅 (列車)5時間5分・4往復・10450円 (バス)5時間50分・6往復・6200円 札幌~函館駅 (列車)約3時間40分・12往復・8830円 (バス)5時間35分・8往復・4810円 札幌~帯広 (列車)2時間40分・11往復・7220円 (バス)3時間50分・10往復・3770円 札幌~釧路 (列車)4時間0~20分・6往復・9370円 (バス)5時間10~15分・5往復・5770円 列車と比較した時間が多少かかる高速バスですが、料金面で非常に有利な路線が多いです。特に札幌~帯広間はバスはJR特急・スーパーおおぞら号(スーパーとかち号)の半額近くになっています。しかも本数でもほとんど変わらない。JR北海道が大苦戦するのも分かります。 さらに背景にあるのは、北海道の高速道路網が拡充されていることです。 JRグループが発足した1987年4月時点での北海道の高速道路網は、札樽自動車道(札幌西~小樽IC間)と道央自動車道(岩見沢IC~札幌JCT~登別室蘭IC間)の2路線のみで、総延長は約167kmにすぎませんでした。 その後、道東道、日高道、深川留萌道、十勝オホーツク道、旭川紋別道などが次々と開通。特に道央道は毎年のように道南・道東の両方向への延伸が行われました。その結果、北海道の高規格幹線道路(高速道路)の総延長は2016年6月現在で約1093kmに拡大。30年間で約6.5倍に拡大された計算になります。 ~参考~ 1987年(国鉄民営化)以降の開通区間 (道央自動車道) 1987年9月 岩見沢IC~美唄IC間 1988年10月 美唄IC~滝川IC間 1989年9月 滝川IC~深川IC間 1990年10月 深川IC~旭川鷹栖IC間 1991年10月 登別室蘭IC~室蘭IC間 1992年9月 札幌JCT完成 10月 室蘭IC~伊達IC間 1994年3月 伊達IC~虻田洞爺湖IC間 1997年10月 虻田洞爺湖IC~長万部IC間 1998年4月 深川JCT完成 1999年10月 千歳恵庭JCT完成(道東道と接続) 2000年10月 旭川鷹栖IC~和寒IC間 2001年11月 長万部IC~国縫IC間 2003年10月 和寒IC~士別剣淵IC間 2004年3月 比布JCT完成 2006年11月 国縫IC~八雲IC間 2009年10月 八雲IC~落部IC間 2011年11月 落部IC~森IC間 2012年11月 森IC~大沼公園IC間 2013年8月 新千歳空港IC開設 (道東自動車道) 1995年10月 十勝清水IC~池田IC間 1999年10月 千歳恵庭JCT~夕張IC間 2003年3月 帯広JCT完成(帯広広尾自動車道と接続) 6月 池田IC~本別IC間、本別JCT~足寄IC間 2007年10月 トマムIC~十勝清水IC間 2009年10月 音更帯広IC開設、占冠IC~トマムIC間 11月 本別IC~浦幌IC間 2011年10月 夕張IC~占冠IC間 2015年3月 浦幌IC~白糠IC間 2016年3月 白糠IC~阿寒IC間 (北海道横断自動車道) 2018年度 小樽JCT~余市IC開通予定(小樽JCTで札樽道と接続) 続いて、航空業界。 LCCをはじめとする航空業界の攻勢も挙げられます。今年10月、ピーチ・アビエーション(全日空系)が新千歳空港の拠点化を発表しました。2018年度にも新千歳発着の国際線の他に道内路線の開設を目指すとのことです。 現在、全日空は新千歳空港からの道内路線として函館、釧路、女満別、根室中標津、稚内の各路線があります。もしこれが全てLCCのピーチになったら・・・。基本運賃は5000円前後。ピーチにとって最大のライバルは高速バスになるような感じであり、「JR北海道なんて敵じゃない!」と言わんばかり。だとしたらJRにとっては非常に大きな屈辱になるのは間違いないと思います。 他にも、日本航空の子会社である北海道エアシステムが札幌(丘珠)から釧路、函館、八戸へ運行中。丘珠から釧路、函館へそれぞれ45分で結んでいます(いずれも毎日4~5往復)。 以上のように、JR北海道を取り巻く環境は非常に厳しいことが改めて分かりました。鉄道事業では北海道新幹線以外で新しい事業をすることはもはや無いと思います。あるとすれば線路の補修、車両の新規開発や更新ぐらい。在来線(特に過疎地域)については撤退戦に入らざるをえないでしょう。公共交通機関としての使命を務めつつ、これ以上の損失を出さないためには、やはりJR北海道に対しての更なる出資が必要かと思います(あるいは思い切って、JR東日本がJR北海道を子会社化するのも一つの手です)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 24, 2016 06:20:21 PM
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