YB-40、B-17の派生「駄っ作機」
YB-40 (航空機) YB-40はB-17Fをベガ社が改造した試作機(生産数25機)。 長距離爆撃機の編隊を掩護する目的で試作された。 愚かな発想を具現化したもので、役に立たないことが判明し、量産されなかった。 1942年9月、初飛行。 第二次世界大戦中、英軍がアブロランカスターなどでドイツの夜間爆撃を担当した。 米陸軍は昼間爆撃を担当していた。 ドイツ空軍は重武装のB-17Fの機首の武装が貧弱なことに気付き、正面攻撃を多用するようになった。 次第に被害が増大した。 現地部隊は各々の武装強化改造で対応していたが、十分ではなかった。 護衛戦闘機をつけたいところだが、B-17やB-24に随伴できる航続距離を有する戦闘機がなかった。 速度、航続距離など基本性能が同等の同型機を爆装せず編隊護衛専用機に改造して随伴させることになった。 B-17FをXB-40、B-24DをXB-41の名称で各1機改造することになった。 B-17の重対空武装版を作ろうということになり、XB-40が試作された。・機首武装の強化の為に機首下面に爆撃士が遠隔操作するチン・ターレットと呼ばれる連装銃塔を装備・胴体上面中央の銃座を動力銃塔に変更・側面銃座を油圧駆動の2挺に強化・爆弾を搭載しない代わりに機銃弾を多めに搭載 XB-40の飛行テストの後ベガ社には優先度が高いプロジェクトがあったため、ダグラス社にて同様の改造を施したYB-40が製作された。 1942年10月、13機のYB-40が発注され、1943年1月、12機が追加発注された。 YB-40は十分な飛行審査を経ぬままヨーロッパ戦線に投入。 * * 正面装備以外に大した配慮が感じられないのは、いずこの国の軍隊でも同じようだ。 銃も弾も重い。 動力銃塔はなお重い。 完全装備のB-17に比べてYB-40は約4,000ポンド(1,800 kg)重かった。 各種張出しは滑らかな機体形状を損ない、空気抵抗が増大。 重くなった飛行機は最高速度が低下し、操作性が悪化する。 編隊飛行は最も遅い機に巡行速度を合わせるので、YB-40が随伴する編隊はYB-40にの飛行速度に合わせる。 即ち飛行速度が遅くなった。 チン・ターレットの追加による射撃は効果的だった。 後継の最多量産型B-17Gに標準装備となった。 他に追加した銃座はさほど効果がなかった。 YB-40の目的は部分的には達成された。 だが、爆弾を投下した後のB-17Fに追いつくことができなかった。 P-47やP-51など航続距離が増強された単座戦闘機の目処が付き、足手まといな存在となっていたYB-40は退役。 元のB-17Fに戻された。 諸 元 全長:22.6 m、全幅:31.4 m 全高:5.8 m、翼面積:141.9 m2 空虚重量:24,900 kg 全備重量:28,800 kg 最大離陸重量:34,000 kg 発動機 :カーチス・ライト R-1820-65 (TC付) 空冷星型9気筒 (1,200hp) 4基 出力荷重比:0.066 hp/lb 最大速度:470 km/h 巡航速度:315 km/h 航続距離:3,640 km 実用上昇限度:8,900 m 乗員:10名 武装 ブローニング M2 12.7mm 機関銃 16丁 連装回転銃塔 3基(機首下面及び胴体上面 2) 連装銃座 3基(尾部及び胴体左右側面) 単装 2基(機首左右側面) 球形連装銃塔 1基(胴体下面)