2020/11/02(月)06:00
コロナの次は、マラリアと永久凍土に注意
2020年は新型コロナウイルスが世界を揺るがした。
だが、人類に重大な影響をもたらすような感染症はインフルエンザや新型コロナウイルスだけではない。
日経ビジネスで感染症に関する連載が始まった。
この中で池上彰氏は、今後、注意すべきは地球温暖化関連の感染症と語る。
池上彰&増田ユリヤのコロナ特別講義
「マラリアと永久凍土に注意せよ」「世界史のなかの感染症」から、未来を考える
【第1回】小野 田鶴2020年10月19日 日経ビジネス
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小田中:コロナ禍のこの春、自分なりに感染症の歴史を勉強するにあたって、軸にしたのが「病原体と社会の相互作用」という問題意識です。 感染症は、複数の人間がいて初めて成立する概念であり、社会的な性質を持ちます。
感染症の流行は、社会に影響を及ぼすし、逆に、社会の変化が、感染症に影響を及ぼす側面もあります。 そのような相互作用が、どのような局面に現れるか。
本を刊行した後、編集者の小野さんとメールをやりとりしながら考えるうち、歴史を振り返ると、次の5つくらいにまとめられるような気がしてきました。感染症と「気候変動」感染症と「都市化」感染症と「移動手段の発達」感染症と「社会階層構造」感染症と「人々の感情」 そこで今回のシリーズでは、この5つのテーマで、池上さんと増田さんに「世界一受けたい授業」をお願いしたいと考えています。
…(略)…
この先も温暖化が続くとすれば、日本でどのような病気が流行る可能性があるのかは、考えておく必要があるのではないでしょうか。
今こそ、マラリアに警戒せよ池上:その意味で、これから心配なのは、マラリアですね。小田中:ああ、確かに。池上:太平洋戦争では、多くの日本人兵士が東南アジアでマラリアにかかり、亡くなっています。そして、戦後、復員という形で東南アジアから帰国した兵士たちを起点に、国内でマラリアの感染が拡大しました。 ですから、今、これだけ温暖化が進んでいるなかで、今後また、マラリアが広がるという可能性は否定できません。 何しろ、マラリアは今も世界中で多くの人間を殺しているのです。マラリアやデング熱の感染を媒介する蚊は、人間を最も多く殺している生物として知られます。そして2番目に殺しているのが、人間自身であるのも、ご存じの方が多いでしょう。
2016年には、ロシア・シベリアのヤマル半島で、炭疽病の集団発生があり、死者も出ました。その原因は、温暖化の影響で永久凍土が解け、そこから現れたトナカイの死骸に炭疽菌が残っていて、他の動物に感染し、人間にまで広がったからだと、言われています。 このように、永久凍土に閉じ込められていた過去の病原菌が姿を現し、人間が感染する事態は、これからも起きるかもしれません。 そう考えると、人間は今、地球の南と北の両方から、感染症が発生、拡大するリスクに直面しています。
― 引用終り ―
主要な警戒点として加えるのは、アマゾン、アフリカの未開の地の大規模開発か。
ワクチンが開発されようと、コロナ騒動が収束しようと、新型コロナの感染が終る訳ではないし、今後も感染爆発が起こらないと断言できないという事実を、率直に認識すべきだろう。
日本ではややこしい人間関係社会に加えて、マスク着用の息苦しい暮らしが続く。
自殺率が増加に転じ、出生率が低下続けている事実は、コロナ日々の感染者数などよりも日本社会が注視すべき「現実」だと思う。