テーマ:自動車・交通(1690)
カテゴリ:自動車
世界で最も命を預けるに値する車はトヨタ・ランドクルーザー(ランクル)であろう。 ランクルは、行くことができる場所から「必ず帰って来られる」ことを最優先に作られた車だからだ。 2021年6月10日、新型ランクル300系の発表とともに、改めてランクルの素晴らしさを礼賛する記事が散見されるようになった。 「ランクルじゃなきゃダメなんだ」 世界で評価される理由 2021年6月14日 ITmedia ビジネスオンライン 6月10日深夜2時30分。新型ランドクルーザー(ランクル)のワールドプレミアが配信された。その発表はたぶん世界的に見てちょっとしたお祭りであった。 … (略) … ●信頼性という価値 30年以上前、自動車系出版社に入りたての頃に筆者はそれをすり込まれた。「池田なぁ、村もオアシスもない巨大な沙漠をクルマで命懸けの横断をするとして、レンジローバーとランドクルーザーがあったらどっちを選ぶ?」。そう聞かれてハタと思ったのだ。 確かにそれだったらランクルを選ぶだろう。ただ当時のレンジローバーはローバーの名エンジニア「スペン・キング」の手になる初代モデルで、群を抜いた悪路走破性に加えて神々しいオーラを放っていたし、英国ジェントルメンのライフスタイルを象徴するクルマとして喧伝(けんでん)されていた。 いわく、英国流のカントリーライフを楽しむジェントルメンは、成功の証(あかし)として、荘園のような郊外の邸宅(マナーハウス)と農園を手に入れて農耕生活を送ることが嗜(たしな)みであり、時折ロンドンはコヴェント・ガーデンのロイヤル・オペラ・ハウスに観劇に行く時に乗るのがレンジローバーであるといわれていた。 もっとも当のスペンキングは、いやあれは農地で使うクルマだと断言しており、どうやらオペラ云々は欧州かぶれのバブル文化真っ最中の日本で作られたお話らしいのだが。 ●壊れないかの確認ではなく壊すこと ランクルとハイラックスの話だが、タンドラやタコマだって同じだ。トヨタはこれらのクルマを壊して壊して徹底的にいじめ抜き、鍛え上げる作業を行っている。壊れないことを確かめるのではなく、どこまでやったら壊れるかを確かめるのだ。 … (略) … そういう個性的というか、全く性質の違う過酷さを持った道が世界にはたくさんある。その現実を知らないで、想像だけではクルマは作れない。知らなかった過酷さにぶつけて「壊してみて」初めて本当の意味での限界が分かる。トヨタの5大陸チャレンジはそういう種別の違う過酷な道で、クルマと人を鍛える。人はエンジニアとは限らない。トヨタで働くさまざまな人が世界の道の本当の過酷さを感じ、腹落ちするためにこのチャレンジに参加する。腹落ちすれば、そういう地域で使う人のリスクが自分事になるのだ。知らないことを想像するのとは受け止め方そのものが変わってくる。 ●ミスターランクル 実はミスターランクルみたいな名物エンジニアがいるのだが、彼と話していると、頻繁に出てくる言葉がある。それは「必ず帰って来られる」という言葉だ。ほんのわずかな油断が絶望的な状況を招くかもしれない「道」で、何があっても絶対帰って来られる性能を最大限に追求したクルマがランクルだ。彼はこう言う。 「モデルチェンジする時、旧型で走れた場所が新型では走れないということは絶対にあってはいけないんです」 ●GA-Fプラットフォーム ということで、われわれがランクルに期待すべきは、絶対に生きて帰って来られる性能が死守された上で、どれだけ快適になったか、あるいは楽しくなったか、環境に良くなったか。そういうことだろう。 期待すべきは、ラダーフレームにもようやくTNGA世代がデビューしたことだ。GA-Fプラットフォームだ。このニューシャシーの採用によって、高剛性化、低重心化、重量配分の適正化、サスペンション構造の改善など多くのメカニカルな進化をもたらしつつ、フレームと車体を合わせて200キロの軽量化を果たしているという。 そしてパワートレインも新設計になった。従来のV8に替えてV6ツインターボの3.5リッターガソリンと3.3リッターディーゼルである。もちろん動力性能はV8を凌駕(りょうが)している。2気筒減った分フリクションも減るはずだが、それにダイレクトシフトの10段ATを組み合わせて燃費を改善しているという。 ― 引用終り ― その信頼性の高さ、頑丈さを高く評価したのは、命を懸けて戦う各国のゲリラだった。 2015年にイスラム過激派組織「イスラム国」が公開した宣伝ビデオに登場する自動車が、比較的年式の新しいトヨタ自動車の「ハイラックス」と「ランドクルーザー」であったことから、米国連邦政府テロ対策局は米国トヨタに対し、自動車の入手経路等の説明を求めた。実態は米国務省から自由シリア軍へ救援物資として贈られたハイラックス・ランドクルーザーが、自由シリア軍の活動中にISILの武装組織に襲撃・略奪されて、イスラム国の手に渡っていたことが後に判明した。 世界の武装ゲリラからランクル(とハイラックス)は愛されている。 さすがトヨタと言うべきか、アフガニスタンからソマリアまで世界のゲリラの「武器」として愛用され続ける驚くべき耐久性 ラビ・ソマイヤ 2010年11月19日 Newsweek日本版 … (略) … ハイラックスを愛用しているのは、アフガニスタンのゲリラだけではない。「世界中の至る所で用いられている」と、新米安全保障研究センターの研究員で元米陸軍特殊部隊員のアンドルー・エグザムは指摘する。「(世界の武装ゲリラの間で広く用いられている自動小銃の)AK47の車両版と言ってもいい」 世界のゲリラ戦の歴史を写真で振り返ると、この車が紛争地帯でいかによく用いられているかがよく分かる。最初に写真に登場するのは60年代後半。新しいところでは、パキスタンの武装勢力がハイラックスに乗って銃を高く掲げている2000年の写真や、約20人のスーダンのゲリラが荷台で武器を掲げている04年の写真がある。ソマリアの海賊が首都モガディシオでハイラックスに乗って、銃を振り回している写真もある。 これはあくまでも一部の例にすぎない。ニカラグア、エチオピア、ルワンダ、リベリア、コンゴ民主共和国、レバノン、イエメン、イラク......さまざまな紛争地帯で撮影された写真にハイラックスが写っている。一部地域ではアメリカの特殊部隊も、ハイラックスの大型版であるトヨタ・タコマに乗っている。 戦場でハイラックスがあまりに目立ったために、この車にちなんだ通称で呼ばれている戦争まである。80年代のチャド内戦は、政府軍と反政府軍の双方がハイラックスの改造車を多用したことから「トヨタ戦争」と呼ばれた。 これほどまでにハイラックスが武装ゲリラに重宝されるのは、「戦闘力を何倍にも増やせる」からだと、英ウェールズ大学アベリストウィス校のアラステア・フィンラン研究員(戦略研究)は言う。「スピードが出せるし、機動性も高い。(50口径の機関銃を荷台に設置すれば)破壊力も強い。兵士の防弾チョッキを軽く破壊し、軽装甲車両であれば車体も撃ち抜ける」。軽装備の特殊部隊にとっては極めて危険な武器だと、フィンランは指摘する。 イラクとアフガニスタンの両方でハイラックスを使用しているゲリラと戦った経験を持つ元イギリス軍特殊部隊員(現在も対ゲリラ戦の助言を行っていることを理由に匿名を希望)に言わせれば、「(ハイラックスが)愛用される理由は至って単純」だという。「スピードが出せて、故障せず、荷台に重火器を載せられる頑丈な車両の価値は極めて大きい」 中東の紛争地帯を見てきたエグザムによれば、既にゲリラの間で多く用いられているという事実がハイラックスの地位をさらに確かなものにしている。「みんなが使っているので、交換部品が手に入りやすく、どこの整備士も修理の仕方が分かっている」 ― 引用終り ― ランクルは世界的に人気を博している。 2021年3月25日、日本損害保険協会は、「第22回自動車盗難事故実態調査結果」を発表。 車両本体盗難は、トヨタ自動車「ランドクルーザー」が25件で2年連続の最多被害モデルとなった。 最も奪われる車=もっとも人気の高い車の証。
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最終更新日
2021年06月24日 16時00分07秒
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