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2021年10月03日
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カテゴリ:航空&ミリタリー
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 ツェッペリン飛行船の開発者フェルディナント・フォン・ツェッペリンは、自身のための近代的な自動車を設計したヴィルヘルム・マイバッハの提案を受け入れて設立したLuftfahrzeug-Motorenbau(ルフトファールツォイク・モトーレンバウ)が「マイバッハ」ルーツで。
 起業の目的は航空機エンジンの開発・製造だったが、その技術をベースに自動車や船舶のためのエンジン開発も視野に入れていた。

■飛行船用エンジン
 「マイバッハ」のエンジンでは、ツェッペリン飛行船用エンジンが有名。

 1910年に登場した初期のAZ型で排気量2万500cc、水冷直列6気筒160psの当時としては大出力エンジンだった。
 飛行船用エンジンの最終型VL2型では水冷V型12気筒3万3250ccへと発展した。
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■陸舶用ディーゼルエンジン
 「マイバッハ」の陸舶用のディーゼルエンジンの最初のモデルは1919年の1万5000ccの直列6気筒のG1型。船舶や鉄道用として設計されたが試作のみに終わった。

 ディーゼルエンジンの最初の量産機は1927年のG4b型。これはG1型の量産仕様で小型のディーゼル機関車や船舶用として使用された。
 ディーゼルエンジンシリーズはV型12気筒ギアトレインカムドライブSOHCのGOシリーズに発展。
 GOシリーズは、初期のGO5型4万2400ccの排気量から410psを発揮し、1930年代当時の画期的な高出力エンジンとなった。
 第二次世界大戦の激化で試作のみに終わった最終発展型のG7は、ヘミスフェリカル燃焼室にターボ過給機を組合わせ750psを発揮するの高出力機だった。
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■軍用車両用エンジン(6気筒)
 「マイバッハ」の重要な分野で大戦後の衰退の理由のひとつとなったのが軍用車両用エンジン。
 この分野に参入したのは飛行船専用エンジンから撤退した後、再軍備宣言を経た1934年以降。
 初のモデルNL52TUは
5200ccの直列6気筒SOHCで120ps。これが初期の戦車用試作エンジンに用いられた。
 1935年の3500ccの90psのNL35スペチアルはビュッシングが設計した5トンハーフトラックの試作機用エンジンとして採用された。
 出力不足を指摘されたため排気量を3800cに拡大、100psにパワーアップしたNL38TUKが量産型に採用された。
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 この直列6気筒シリーズは1935年のHL57TR、1936年のNL38TU、HL62TUK、1937年のHL54TUKRM、1940年のHL66Pとバリエーションを拡大し、デマグの1トンハーフトラック、ハノマグの3トンハーフトラック、ビュッシングの5トンハーフトラック、クラウスマッファイの8トンハーフトラック、その他Sd.kfz250/251シリーズのハーフトラックに採用された。
 メルセデス・ベンツ製12トンハーフトラックもマイバッハの自動車用V型12気筒8000cc、DSO8を搭載した。「マイバッハ」の優位性が分かる。

 当初クルップ製エンジンを搭載していたI号戦車の改修用およびII号戦車用エンジンとして採用されたのもこの
6気筒シリーズ。
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■軍用車両用エンジン(12気筒)
 軍用車用直列6気筒シリーズに続いてV型12気筒シリーズがほぼ同時期に試作された。
 1935年、1万cc、HL100TRが試作機として
製作された
 
1937年、量産機の1万2000cc、HL120TRMが完成。
 300ps前後の最高出力のこのモデルがIII号戦車とIV号戦車と突撃砲などの各々の派生型のエンジンとなった。
 1938年、HL85TUKRMと1万800ccのHL108TRが追加された。
 前者はメルセデス・ベンツの12トンハーフトラックの改修用。
 後者はファモ製の18トンハーフトラック用。
 一部はIII号戦車とIV号戦車に搭載された
     ​
 1941年、排気量を2万1350ccに大幅拡大したHL210Pが製作に入った。
 V号パンターとVI号ティーガーIの初期型に搭載された。
 このシリーズは排気量をさらに拡大した2万3000ccのHL230Pに発展した。
 パンターの後期型とティーガーIの後期型(ティーガーIIも含む)に搭載された。
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 タイガーIの初期型は、HL210-P45というV型12気筒の水冷式ガソリンエンジンで、排気量21L、最高出力は650ps。
 パワー不足が問題となり、排気量を23Lに拡大した700ps版のHL230-P45に換装された。
 同じ性能のまま小型軽量化したP30型は、ほぼ同期に開発された45トンのパンサー戦車に搭載され、良好なバランスで高い運動性能を提供している。
 700psとなったHL230シリーズでも、タイガーI型の重量(57トン)は負担で、最高速度は38km/h(パンサーは55km/h)にとどまった。
 不整地や障害を乗り越えることの多い戦車は最高回転まで引っ張ることが多く、全開運転による故障が頻発した。そのため、ガバナー(回転リミッター)により最高回転数を500rpmダウンし、最高出力を600psまでに抑制し、耐久性を維持した。

マイバッハ HL230 P30 主要諸元
●水冷 60度V型12気筒・OHV
●排気量:約23.9L
●最高出力:700ps/3000rpm
  (のちに600ps/2500rpm)

■「マイバッハ」エンジンの特徴
 飛行船用エンジンにルーツを持つこれらのエンジンは、いずれもアルミ合金製シリンダーブロック&シリンダーヘッドで構成され、この時代には珍しいオール・アルミ・エンジン。大出力で出力重量比が大きいエンジンは、自動車用エンジンではなく航空機エンジンをベースにしていることが多く、戦車にも有利にはたらくエンジンの「軽量化」「(出力に比して)小型化」は、価格より重視されるポイントだった。
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 構造上の特徴はクランクシャフトのメインベアリングジャーナル。
 一般にクランクシャフトのメインベアリング径は、クランクシャフト自体とほぼ同じ。
 マイバッハは、大出力、大トルクを受け止めるべくメインベアリング径がカウンターウエイト径とほぼ同じで、カウンターウエイト自体がジャーナル部分と一体化していることが特徴。
 ジャーナル径を増やすとベアリングに対する面圧が下がり耐久性が向上する。
 このような構造を採用すると、ベアリングまわりのフリクションロスが大きくなる。
 低回転型の大型エンジンであるため、フリクションロスより、耐久性の向上を優先したのだろう。
 当時のドイツのガソリンはオクタン価が低く、高回転高出力を成立させることは難しく、低回転高出力を選択するのは適切。
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 ドイツ空軍のBf109に採用されたダイムラーベンツDB601もオクタン価の高い燃料が手に入りにくいドイツの
燃料事情に合わせ高圧縮低回転型で設計されている。
 DB601Aは離昇出力1,050HPを2,450rpmで発生する。
 燃料事情が悪いのは、大日本帝国も同じ。
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 うまく回らない高性能エンジンとして有名な中島飛行機の「誉」は、高オクタン価の燃料使用を前提に、離昇回転数をベースとなった栄二一型の2750 rpmから3000 rpmに引き上げていた。
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最終更新日  2021年10月03日 16時00分06秒
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