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2024/05/09(木)06:00

労災死亡事故連発

生活、家族、仕事(340)

 日本の製造業就労人口は2002年に1202万人だったが、2022年は1044万人まで158万人減少した。安全管理水準のたかまりと労働者数減少で、製造業の「労災死亡者」は近年減少傾向だった。     ​​ 2,024年2月13日、群馬県太田市にあるスバルの群馬製作所矢島工場で、崩れた金型に挟まれて作業者が死亡した。 2月14日、岡山県笠岡市にあるJFEケミカル西日本製造所笠岡工場で、水や薬品をためておく深さ2メートルのピットに作業員が転落して死亡した。 2月24日、千葉市美浜区にある山崎製パン千葉工場で、60代のパート勤務女性がベルトコンベヤーと搬出装置の間に落ちた加工品を取ろうとしたところ、腕や上半身を装置に巻き込まれ死亡した。      ​​ 3月26日、建設機材の部品などを製造するカネソウの三重県朝日町の工場で、作業員の男性が自動造型機のプレス部分に頭を挟まれて死亡した。 4月10日、アルミ製造大手UACJの深谷製造所敷地内で、50代の男性作業員がやはり機械に挟まれて死亡した。 4月20日、茨城県取手市のキリンビール工場でタンクのつまりを解消するために作業をしていた清掃員の男性が、コーンスターチの中で倒れているのが発見され病院に搬送されたが、死亡が確認された。 貴重な日本の労働者は、重大災害でじわじわと減っている。     ​​スバル、山崎製パン、キリン……​相次ぐ“事故” 問題の根っこに何がある?​ITmedia ビジネスオンライン  2024年4月24日  …  (略)  … しかし、労働者の数は激減しているにもかかららず、どういうわけかじわじわと増えている労災がある。それは「休業4日以上の死傷者数」だ。2022年は2万6694人で、2021年と比較して270人も増加。これはコロナ禍の反動など理屈をつけることもできるが、2017年と比べても20人増えているのだ。  …  (略)  …      ​​●工場で労働災害が増えている3つの要因 この深刻さがよく分かるのが、厚生労働省静岡労働局が注意喚起のために作成した「製造業のはさまれ・巻き込まれ災害のポイント」だ。 「製造業における労働災害は、全産業の3割程度を占め産業別では最多となっており、特に機械等へのはさまれ・巻き込まれによるものが多数発生しています」 この資料では、2022年に発生した「はさまれ・巻き込まれ」の労災事故をグラフにしている。最も多いのは「食料品」(92件)で、次が「金属製品」(55件)。冒頭で触れたスバル、山崎製パン、カネソウ、UACJの事故は一見するとバラバラで関連性がないと思うだろうが、実は本質的なところでは「はさまれ・巻き込まれ災害」という同じ問題が起きていたのだ。 では、このような「はさまれ・巻き込まれ災害」も含めて、なぜ日本の工場で「休業4日以上の死傷者数」が増えているのか。いろいろな意見があるだろうが、筆者は主に以下3つの要因があると思っている。 (1)「人手不足」による単独作業の増加 (2)労働者の高齢化による運動・認知機能低下 (3)低賃金で使い捨てにされる非正規雇用の増加  ―  引用終わり  ―     ​​ 高齢化により身体能力が低下した労働者が増え、非正規化により作業に不慣れな労働者が増加した日本の、労災事故の4分の1は「転倒」。「転倒」「墜落・転落」「腰痛」で労災の半分近くを占める。 様々のイレギュラー対応に長けたベテラン社員は、企業の施策と定年などで着実に減っている。 企業は高齢者、非正規労働者で正社員の不足を補えば、労務費比率が低下し一石二鳥。決められた手順に従えば誰でも安全にできる作業のはずだった。 労働現場は決められた手順以外のやり方、ごくたまに発生する出来事に危険が潜んでいる。 これからも労災事故、危険を察知できるベテランがいなくなったことによる工場事故はヒトと設備で発生し続けるのだろう。     ​​ ヒトがいなくなれば社会保障関係費用の支出はゼロになる。  入院患者が減れば医療費の増大に悩むことも少ないので、コロナ禍の最中も厚生労働省は病院の削減を予定通りすすめた。  身体能力が劣る高齢者、低賃金の非正規労働者が欠けることを国民負担(=社会保障費用)の増大に悩む厚生労働省も、総論で歓迎しているのだろうか?      ​​ 日本人が減っても米帝の防波堤の役割に変わりはないので、軍事費は増大を続ける。少子化対策に予算を費やすことに自民党の一部は、軍事費増大では問題にしない財源問題を盾に反対を続ける。  軍事費削減のための兵器の輸出は、世界平和の観点から与党公明党が反対する。米国の軍需産業、航空宇宙産業も一安心。  いつまでこんなことが続けられるのか分からないが、とりあえず日本は平和でありがたい。    

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