テーマ:自動車・交通(1709)
カテゴリ:自動車メカ、部品
東京商工リサーチが実施した自動車部品メーカーの調査にて、自動車部品メーカーの倒産が相次いでいると報じられた。
過去10年では、2017年の30件を上回り、最多倒産件数を更新した。 負債総額は100億8,200万円(同334.1%増)で前年の4.3倍に大幅に増加。 過去10年ではエアバッグ世界シェア2位で製造業最大の大型倒産となったタカタ(株)(東京)が倒産した2017年の1兆5,185億9,000万円、2020年の660億4,400万円に次ぐ、3番目の規模。 自動車部品メーカーの倒産は今後も続いていくと予想される。 負債総額は100億円越え カワブチカズキ 2024年01月26日 ITmedia] 2023年の自動車部品メーカーの倒産件数は35件で、前年の1.6倍に急増。そんな結果が、東京商工リサーチの調査で分かった。17年の30件を上回り、過去10年で最多を更新した。負債総額は100億8200万円だった。 19年以降、消費増税に伴う需要減やコロナ禍によるサプライチェーン問題、半導体不足などにより、各自動車メーカーは減産を余儀なくされたため、下請的な自動車部品メーカーも受注が低迷し、業績が悪化したケースは多い。 東京商工リサーチは、「コロナ関連支援策も終了し、業績の立て直しが後手に回った企業の息切れ倒産が増えている」と分析する。 原因別では、「販売不振」(23件、65.7%)が最多となり、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」(6件、17.1%)、「他社倒産の余波」「設備投資過大」(いずれも2件、5.7%)が続いた。 「不況型倒産」(既往のシワ寄せ、販売不振、売掛金等回収難の合計)が29件を占めた。 資本金別では、1000万円未満が17件(48.5%)、1000万円以上が18件(51.4%)と拮抗している。しかし、1000万円以上は前年の3.6倍に急増した。 内訳を見ると、「1000万~5000万円未満」が16件(45.7%)、「100万~500万円未満」が8件(22.8%)、「500万~1000万円未満」が7件(20.0%)と続く。 負債額別では、負債1億円以上が19件(54.2%)と前年の2.1倍に増加し、過半数を占めた。内訳は「1億~5億円未満」が16件(45.7%)、「5億~10億円未満」が2件(5.7%)、「10億円以上」の大型倒産も1件(2.8%)発生した。生産設備などへの投資が必要なことから、負債はふくらむ傾向にある。 1億円未満は16件(45.7%)だった。内訳は、「1000万~5000万円未満」が9件(25.7%)、「5000万~1億円未満」が7件(20.0%)だった。 ― 引用終わり ― 自動車部品メーカーの倒産が増えた主な理由 1.消費税増税に伴う需要の減少 自動車部品メーカーの倒産が増えだしたのは、2019年に消費税が8%から10%に引き上げられたのが原因のひとつ。 自動車製造に関わる企業の多くが安く生産できる自動車部品メーカーを求めて、契約の変更が発生した。 最終的には、一部の自動車部品メーカーへの受注が減って経営不振に陥り、企業を運営し続けられないという理由から、倒産が相次いでいます。 2.新型コロナウイルスによるサプライチェーンの変化 コロナ禍で経済活動全般が停滞し、サプライチェーンに変化が生じた。 ・自動車ニーズが減少したことに伴う受注の減少 ・海外から材料輸入の減少 リモートワークの進展などで「人々が動かなくなる=自動車に乗る機会が減る」となり、コロナ禍で自動車購入数が激減した。 3.半導体の不足・高騰 自動車向け半導体不足による、半導体価格の高騰と自動車生産の不安定化。 自動車部品メーカーも半導体を活用するが、価格転嫁が進まないため販売時の採算が取れなくなり倒産に追い込まれる。 4.品質問題の露呈 認証不正による減産、生産・出荷の不安定化。 ぎりぎりの損益で運営される部品メーカーは、生産の不安定化で固定費の支払いに耐えられなくなる。 そしてハイブリッド車(HEV、PHEV)を含めEV化はどんどん進んでいくので、エンジン系部品メーカーは事業の将来性を見出せなくなる。 業種転換の余力もなく、廃業、倒産となる。 下記の記事が示すように、自動車部品メーカーがかつてない苦境に陥っていることは分かっていた。 半導体不足やコロナ痛手、ゴーン時代の弊害も 横山 隼也 : 東洋経済 記者 2022/07/08 東洋経済オンライン 「彼ら(日産自動車)の言う生産計画の通りに動いていたら赤字が膨らむだけだ」 ある日産系部品メーカーの首脳はいらだちを隠さない。 日産を主要取引先とする大手部品メーカー・マレリの経営破綻は、他の日産系部品メーカーにとっても他人事ではない。カルロス・ゴーン元会長の逮捕や検査不正によるブランド毀損、新型コロナウイルスの感染拡大などがあって、日産の生産台数は2018年以降右肩下がりが続く。2017年と比較すると、2021年は約4割減った。生産台数で業績が左右されやすい部品メーカーにとっては経営に大きな打撃になっている。 加えて、ここ数年各社の頭を悩ませているのが、半導体などの部品不足による生産の混乱だ。生産数量そのものが落ちていることに加えて、昨年からは生産計画が不安定化。直前になっての減産で適正な人員体制を敷くことができず、過剰な体制のままで固定費負担が増して採算が悪化するという状況が繰り返されている。部品メーカーからは「負のスパイラル状態」という声が上がる。 こうした経営環境はトヨタ自動車やホンダといった系列部品メーカーでも大小はあれ同じ状況と言えるが、日産系部品メーカーの業績の低迷ぶりはとりわけ目立つ。 主な日産系部品メーカーの2022年3月期業績を見ると、7社中3社が営業赤字となっている。2期連続で最終赤字に陥った内装部品の河西工業は、2020年3月に650億円あった純資産が2022年3月には318億円と半減した。 こうしたことがあり、2022年5月にはシンジケートローンの契約やコミットメントラインの締結で約300億円を調達するなど、厳しい経営が続いている。日産が合理化や販売奨励金の削減などを進めて、3期ぶりに最終黒字に転換したのとは対照的だ。 ― 引用終わり ― お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年08月05日 06時00分14秒
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