「eアクスル」に飛躍をかける日本の自動車部品メーカー5社
EVの駆動系の動力源を構成するのは下記の4要素(モジュール)①電気を貯めるバッテリー②電力を制御するインバータ③電力を回転力に変換するモーター④モーターの回転を適切に減速してタイヤに伝えるトランスアクスル(トランスミッション) 自動車メーカーでは、相性のよい部品を選んだり、アッセンブリーしたりする工程が必要になるわけだが、これらをモジュールとして部品メーカー(サプライヤー)が完成車メーカーに納入するものを「eアクスル」と呼ぶ。 「eアクスル」は、インバータ、モーター、トランスアクスル(トランスミッションとデファレンシャルギアを一体化した動力伝達機構)、の3つを一体化したもの。 eアクスルのメリットは、そのままモジュールとして使えること。 部品同士の、作動の円滑さ、耐久性などの検証がより簡易となる。 電気自動車でも日本勢が覇権を握る理由。動力装置「eアクスル」で急成長する日本企業5社とは?=田嶋智太郎2022年11月25日 MONEY VOICE 電気自動車の動力装置「eアクスル(イーアクスル)」に注目が集まっている。代表的サプライヤーである日本電産は、新工場をメキシコに建設する方針。2024年3月期にも着工し、投資額は1,000億円規模になる見通しだ。足元で急拡大する需要に応ようと、イーアクスル事業に注力する企業は日本電産に限らない。そうした企業の幾つかをピックアップしておきたい。いずれも中長期的にイーアクスル事業が収益に大きく貢献することが期待される。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎) 「イーアクスル」採用拡大の流れに乗る企業 イーアクスルとは、モーター・減速機・インバーターを一体化したシステムで、ガソリン車のエンジンに相当するEVの中核装置。 最近は、ユニット全体の軽量&小型化・車両の開発効率化・コスト削減の観点から、イーアクスルとしてユニットで組んだ状態でサプライヤーから調達し、車両に組み付ける手法が広がっている。 代表的サプライヤーである日本電産は、電気自動車(EV)の駆動装置「イーアクスル」の新工場をメキシコに建設する方針。2024年3月期にも着工し、投資額は1,000億円規模になる見通し。 ― 引用終り ― イーアクスル事業に注力する企業を抜き書きする。・日本電産<6594> イーアクスル事業は研究開発と顧客開拓を優先しているため、2019年の事業開始から営業赤字が続いている。 生産コストを引き下げた第2世代品(9月末に量産を開始)への切り替えでイーアクスル事業の収益化を図り、24年3月期に黒字転換を目指す。 ・三井ハイテック<6966> 金型の超精密加工技術が強みの独立系電気機器メーカー。 世界シェア7割の車載用モーターコアが北米を軸に好調続く。トヨタを主要顧客とするHV・EV向けがもモーターコアを牽引するが、省エネ家電用も伸びる。 ・住友ベークライト<4203> 住友化学傘下の樹脂加工大手。半導体向け封止材料では世界首位に君臨する。 世界初の「樹脂化eアクスル」を開発。同製品は、NEDOの2021年度「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」に採択された。 ・IJTT<7315> いすゞ自動車の子会社。いすゞ自動車への売上高が全体の約6割。 主力製品である産業・建設機械用エンジンは主要部品の粗材調達から加工、組立まで一貫生産する。 7月にEV商用車用『eアクスル』の専用ラインを設置し、量産を開始。 ・日立製作所<6966> 2021年元旦、日立製作所傘下の日立オートモティブシステムズとホンダ傘下のショーワ、ケーヒン、日信工業の計4社の合併により成立した日立アステモが発足。この合併で日立とホンダの距離は一気に接近。ホンダも日立アステモの議決権の33.4%を所有し、議決権を有する。 9月下旬、ホンダが2026年からのグローバル展開を予定している中・大型EV向けの電動アクスルを受注したと発表。日立アステモは自社開発の高性能な一体駆動ユニットをHondaに納入する予定。 自動車部品としての十分な耐久性を備えることは必須。加えて、量産によるコストの低減が十分でなければ、重要な部品であっても、車体組立メーカーは、自製を含め別の調達方法を考えるので、汎用性の高さ=納入先の多様化も必須。