2008/01/19(土)12:15
インドマインド ~変節の友を変節させたもの~
偉くもないのにエラそうに振舞う輩と
言うのは巷でよく見かける。
それが単なる性格的なものなら笑っ
てスルーできるのだが、そやつ目が
宗教と言う名のマントなんか羽織って
やがると、エラそうを少々超えて威厳
じみたり、神秘めかした言動に出や
がるからスルーしたくても出来なかっ
たりする。
宗教家とでも言えばいいのか、宗教
マニアという表現が相応しいのかよく
わからないが、そういう方々は日本
国内にもわりと沢山いて、奇抜で珍
妙で斬新で独自な解釈によって構築
された意見を自ら吹聴して回るので
彼らは人ごみに紛れようと、都会の
雑踏に放り込まれていようと、その
姿形を見分けるのは非常に容易で
ある。
昨今ではご本人や、そのお弟子さん
たちがブログなんかも開設してくれる
ので彼らの思想信条から所在地から
普段の生活から交友関係に至るまで
見透かすことができてこちらとしては
少し安心感があったりもする。
PCが全国津々浦々に行き渡り、ブロ
グなんぞで誰もが自己主張をやらか
すようになる以前は彼らの羽織ってい
るマントが安物なのかバーゲン品なの
か、はたまたまがい物なのかの情報
がつかめず、こちらとしては目に見え
る威厳じみて神秘めかした言動ばか
りが気になって少々薄気味悪い思い
もしたのである。
初めて私にそういう薄気味悪さを覚え
させてくれたのは高校からの友人だっ
た。
当時は札幌の高校を卒業して五年余
りが経ち、互いに東京を根城とした生
活をしていた。私は六本木界隈で毎晩
賭博に明け暮れ、彼はなかなか芽の
出ないバンドマンとして日々を送ってい
たのであるが、彼はそうこうしているう
ちにバンド仲間数名と連れ立って印度
へと出掛ける。
三ヶ月して印度から戻ってきた時、楽
しげな土産話の二つか三つも期待し
て会いに行った私を迎えてくれたのは、
無闇に勝手に達観した挙句にすっかり
変容してしまった彼の暗く重い眼差し
だった。
印度へ行く前までは冗談が好きで、軽
口ばかり叩いていた彼はいったい何処
へ行ってしまったのか。
こちらが何か言う度に、返ってくるのは
おまえらは、何もわかっていない…。
ってな台詞。それをさも重たげな抑揚で
繰り返すだけだから、会話らしい会話も
出来ないままに私は彼の家をあとにしな
ければならなかったのである。
上記の台詞以外で彼が言ったこととい
えば【波動】だの【バイブレーション】だ
の【混沌】だの【カオス】だの、日本語と
英単語で同じようなことを繰り返すばか
りであったわけだが、私はその数年後
に初めて渡航した海外の地にて、その
変節の友人と同じ目をした大勢の輩と
出会うことになった。
同じ目って、無論、威厳の色に塗られた
重く暗い目であり、その海外の地って、
勿論、インドである。連中は、変節の友
と同じくひどく宗教臭いオーラで武装し
ていた。
【つづく】