2022/12/30(金)02:00
ジャニーズ事務所の追徴課税、報道内容は不十分
東京新聞から
ジャニーズ事務所が所属タレントに渡していた「お年玉」を、
経費で計上しながら源泉徴収をしていなかった、
という報道があった。
最初にこのニュースを知ったのは、NHK-TV。
東京新聞とほぼ同じ内容の報道で、
私は、「お年玉」はタレントへの支払いの上乗せだから、
所得税の源泉徴収が必要、ということと思ったのだが、
読売新聞などを読むと、追徴課税の内容は違うようだ。
実際は、
◎会社(ジャニーズ事務所)が、社長にお年玉の資金を渡し、
社長から(社長名で)所属タレントにお年玉を渡した。
◎この資金を、会社は交際費として損金で落とした。
これについて、国税局は、お年玉の資金は、
◎交際費ではなく、(お年玉を配った)社長への臨時的賞与だとして、
社長から源泉所得税を徴収すべき、
と判断して、源泉所得税を追徴課税した。
ということのようだ。
これは、ニュース記者の知識が十分でない事による報道だが、
税金屋の端くれとしては、
国税とジャニーズ事務所のやり取りが浮かんでくる。
ここでのポイントは、
◎交際費(ジャニーズ事務所の資本金にもよるが)も臨時的社長賞与も、
経費として課税所得から控除できないこと。
◎ジャニーズ事務所の所属タレントは社員ではないから、
仕事の対価でない支払いは交際費になること。
◎「お年玉」を受け取った場合は、贈与税の課税対象になること。
ジャニーズ事務所の考え方の推測
◎お年玉はタレントによって金額が異なるので、
成功報酬の意味合いがあるから、社長が渡した(社長名だった)
からと言って、社長への臨時報酬というのはおかしい。
◎しかし、交際費ではなく、所属タレントへの報酬だと主張すると、
所属タレントから源泉所得税分を返して貰わなければならなくなるので、
その手続きが面倒になるうえ、タレントからは苦情が出る。
◎社長への報酬だと国税が言うのなら、タレントには迷惑は掛からないし、
交際費でも、社長報酬でも経費にならないのだから、法人税は変わらない。
ということだったのではないだろうか。
(もし、お年玉の資金が社長個人の口座に振り込まれていたのなら、
社長への報酬でしかない)